Aging Gracefullyプロジェクト 企業向け勉強会第4弾〈後編〉
「AG世代のメンタルヘルスマネジメント」
Project report キャリア マインド ジェンダー 学び 更年期
[ 19.07.22 ]
朝日新聞社と宝島社の女性誌「GLOW」が取り組む「Aging Gracefully」(以下、AG)プロジェクトは、40代、50代の女性たちのエンパワーメントを目的に活動しています。働く女性がキャリアアップしていく上では、組織の制度や風土、プライベートと仕事の調整など、様々な「壁」があります。壁を乗り越え、自分らしく働き続けるためには、どんなメンタリティーを持つことが必要なのでしょうか。また、すでに管理職になった女性たちは、どのように壁を乗り越えてきたのでしょうか。
こうした問題意識から、朝日新聞社AGプロジェクトチームは5月28日午後、「AG世代のメンタルヘルスマネジメント」をテーマに、企業向けの勉強会を東京本社で開催しました。総合人材派遣業や金融、IT関連など19社から、人事やダイバーシティ、宣伝、広報などの担当者ら40人が参加しました。
勉強会の第二部は、「教えて先輩! AG世代の管理職に聞きたいキャリアとライフのホンネ」と題したパネルトークから始まりました。富士通、パソナ、ドコモ・ヘルスケアの女性管理職3人が登壇し、キャリアの歩みやプライベートについて、ざっくばらんに語りました。
- 富士通
小杉美加代さん
富士通で、技術職としてハードウェアやソフトウェアの開発に従事し、現在はデータセンタプラットフォーム事業本部でシニアマネージャーを務める小杉美加代さんは、高校生から小学生まで3人のお子さんがいます。「子育ては私がやらねば、と
自分自身も思ってきて、もっと仕事をしたい気持ちとのはざまで、苦しんだ時期もありました」と、振り返りました。子育て中心の時期を10年ほど続けた後、管理職試験を上司から打診されたそうです。「夫も『手伝うよ』と背中を押してくれ、踏み出してはみたものの、やはり大変でした。そもそも、子育ては『手伝う』じゃなく、『一緒にやるもの』でしょと、もんもんとしたり」。管理職になって5年ほどたった今、「悩んで悩んで、自分も夫も、子どもたちもようやく最近、いまの生活に折り合いをつけられるようになってきたと思います」と語りました。
- パソナ
岩下純子さん
続いての質問は「社内に女性の先輩が少ない中、キャリアの岐路やライフイベントに際して、ロールモデルをどう見つけましたか?」というもの。パソナの常務執行役員で、人材紹介事業本部副本部長も務める岩下純子さんは、管理職だった37歳の時、部署で初めて産休を取得することになったそうです。「大きなおなかでお客様を訪問してもいいのかとか、日々の悩みを聞く相手がいなかったので、上司に、育児経験のある社外の女性を紹介してもらいました。その方たちとのつながりが、今も支えになっています」と語りました。また、「もし社内にロールモデルがいたら、その方のようにしなくては、と思ってしまっていたかも知れません。いなかったからこそ、色んな方法に目を向けられたのかも知れません」と、振り返りました。
- ドコモ・ヘルスケア
出井京子さん
最後の質問は「年齢とともに体調も変わる中、メンタルを健やかに保つために心がけていることは」。これには、ドコモ・ヘルスケア取締役の出井京子さんが回答しました。「女性は月経周期などによって、メンタルが左右されることを男性にも知っていただきたい」と語った上で、自身も40代で更年期を意識するようになり、不調を感じたらこまめに受診していると話しました。
「明日の会議も大事ですが、いっときの『ごめんなさい』が、5年先、10年先もいきいきと働く自分をつくるかもしれない。自分の健康を守れるのは自分だけなので、どうか大事にしてください」と呼びかけました。そして、気分転換の場として最近、フランス語教室に通い始めたと話し、「仕事と関係ないコミュニティーに所属して、色々な話をすることがリフレッシュになっています」と語りました。
年齢に伴う体調の変化については小杉さんも、「夜遅くまで起きているのがつらくなり、仕事の優先順位をより深く考えるようになりました」と語り、気分転換については岩下さんから、「平日夜、夫に子どもの迎えを頼み、職場以外の人と会う機会をつくっています」とコメントがありました。
参加者からも質問が寄せられました。育児休業明けにすぐ、フルタイムで復職した女性は、「高いハードルの前例を作って欲しくなかった」と独身の後輩に言われてショックを受けたと語り、「後輩に、プレッシャーと受け取られないようなコミュニケーションをどうとっていますか」と、問いかけました。
岩下さんは、「管理職にも色んなスタイルがあっていいと思います。ただ、働き方や仕事上の判断について、人から聞かれたら答えられるように、節目、節目で言語化することを心がけています」と語りました。また、子育て中でも、仕事にどこまで力点を置くのか、置けるのかは個々人によって異なることから「色んな働き方の人の代弁者であることを、管理職としては心がけています。頑張っている人の足をひっぱるのではなく、一人ひとりの働き方を認め合える組織にしていきたい」と、抱負を語りました。
小杉さんは、時短勤務や在宅勤務など、様々な両立支援制度を使って働き続けてきたことを紹介し、「制度を使うことがキャリア上、不利にならないことを、身をもって伝えてきたつもりです」と語りました。出井さんも、家族の介護をしていた時期に上司から、「今後、介護をする人にとって参考になるように」と、「午後は病院への付きそいで早退します」など、具体的な状況を職場で共有するように心がけていたことを語りました。
その後はグループディスカッションへ。大野先生や、パネリストの3人もグループに入り、「メンタルヘルスのような個人的な課題を職場でどうコミュニケーションすればよいか」「チームにポジティブな影響を与えるメンタルマネジメントはどうあるべきか」など、参加企業の皆さんと話し合いました。
最後は恒例の記念撮影。
健やかに働き続けるための、様々なヒントや知見を共有できる会となりました。