Aging Gracefullyセミナー<後編>
スマホ決済のイロハからヘアケアまで
AG世代の悩みに答える
Project report 学び トラベル ヘルスケア スポーツ ビューティー マインド
[ 19.12.26 ]
人生100年時代を迎え、2020年には日本の女性の2人に1人が50歳以上になると言われています。こうした中、40代、50代の女性たちと共に、人生の後半を充実させていくためのヒントや、直面している課題を考えようと、宝島社の月刊誌「GLOW」と、朝日新聞社が昨年から始めたのがAging Gracefullyプロジェクトです。
11月10日には、Aging Gracefully(AG)世代のための健康や美容、マネー、ヘアケアをテーマとした 「Aging Gracefullyセミナー」を東京・渋谷のヒカリエホールBで開催。のべ約200人が参加しました。
後編では、スマホ決済やヘアケアセミナーの模様をご紹介します。
−第2部−
一から分かる「スマホ決済」
マネーがテーマの第2部では、トレンド情報誌「DIME」などでライターとして活躍するほか、総合情報サイト「All About」のガイドも務めている綿谷禎子(わたたにさちこ)さんが登壇。「一から分かる『スマホ決済』」と題して、スマホ決済や電子マネーの賢い使い方について解説しました。
まずは、会場の来場者に「現在、スマホ決済を利用している方はどれくらいいらっしゃいますか」と問いかけると、約半分の方が挙手。スマホ決済が生活の中に徐々に浸透しつつあることがうかがえました。
スマホ決済にはモバイルSuica、nanacoモバイルなどの電子マネー、PayPayやLINE Payに代表されるコード決済、Apple PayやGoogle Payなどのモバイルウォレットなどがあります。近年は、ポイント還元キャンペーンなどの影響で少しずつ利用が拡大しているものの、日本での普及率は2割程度と、先進国の中では非常に遅れている現実が示されました。
ではなぜ、スマホ決済を始められない人が多いのでしょうか。綿谷さんは「セキュリティへの不安や、使い過ぎてしまうことへの不安を感じている人が多いのかもしれません」と分析。確かに、現金決済に慣れている人にとっては、スマホが財布代わりになることに戸惑いを感じるかもしれません。でも、綿谷さんは「実は、財布に現金を入れて持ち歩くより、スマホ決済の方が安全であるとも言えるんです」と断言。「コード決済では、万が一のトラブルの際には規約に基づいて補償が受けられるため、現金をなくしたり、盗まれたりするよりも安心です。定額をチャージするように工夫すれば、使い過ぎ対策にもなります」
コード決済は現金決済と比べてメリットも多いと綿谷さんは言います。具体的には、携帯端末の種類やバージョンに関係なく利用できること、クレジットカードがなくても使えることなどが挙げられます。さらに、「自分の利用状況をグラフ等で見やすく確認できるサービスがあること、個人間の支払いができること、クーポンなどが使えてお得なケースが多いこと、公共料金などバーコードの請求書が支払えることなど、便利な面がたくさんあります」と指摘しました。
では、これからスマホ決済を始める人には、どのサービスがおすすめなのでしょうか。綿谷さんは、ふだん利用している携帯電話会社やオンラインショッピング、オークションサイトなどの利用状況からサービスを選択するのが分かりやすいことを、主要コード決済サービス一覧表と共に紹介しました。「例えば、NTTドコモやauの携帯電話利用者は、そのポイントが使えるd払いやauPAY、楽天市場を利用している人には楽天ペイ、ヤフオク!やメルカリの利用者は、それらで得た売り上げをチャージして利用できるPayPayやメルペイというように、ライフスタイルに合ったサービスから利用されると良いと思います」
手始めに、毎月の携帯電話の支払いなどで自然にたまっているポイントを使って、元手をかけずに便利な決済方法を体験すれば、コード決済へのハードルはぐっと低くなると、綿谷さんは指摘しました。そして、まとめとして「現在は現金からスマホ決済への移行期。今ならレジ前でモタモタしていても許されます。AG世代の皆さんが始めるにはベストタイミングだと思います」と呼びかけました。
−第3部−
オトナの「きちんと見え」を叶えて、自分らしく輝く
第3部のテーマは、「オトナの『きちんと見え』を叶えて、自分らしく輝く」。美容室apishの代表取締役でヘアアーティストの坂巻哲也さんと、ヘアメイクアップアーティストで「Happy Star」代表の高橋里帆さんが登壇。AG世代の「きちんと見え」を左右するヘアとメイクのポイントを、来場者から事前に寄せられた質問に答えながら話しました。
最初の質問は、「こまめに美容院に行っても、伸びてくる白髪が気になる」というもの。これに対し、坂巻さんは美容室と相談しながらホームケアを採り入れる選択肢もあると答えました。「サロンでカラーをお願いしているのだからと、白髪が目立って気になっていても、自宅でのケアを我慢されている方が多いかもしれません」。でも、今は市販のカラー剤も使いやすくなり、美容室のカラーと上手に併用しても良いと坂巻さんは言います。「僕たちに気を遣ってホームケアを遠慮することはありません。むしろどんどんヘアスタイリストに相談して、ご自身に合う商品を教えてもらって活用してください」と話しました。
自宅でケアできる商品には、しっかりと染めるタイプや、白髪をぼかすタイプなどがあり、それらの特長を見極めて活用しながら定期的にサロンで見てもらうことができれば、一年中「きちんと見え」の髪でいられるとのこと。「ダメージが心配な方は、カラー専用のトリートメントやマニキュアタイプのカラーを活用することもおすすめです」
続いては、「年齢とともに、毛先の傷み、パサつき、抜け毛、髪質の変化など、様々な悩みがあります。これだけはやっておいた方がよいというヘアケアがあれば教えてください」という質問。坂巻さんは「ヘアケアはシャンプーに始まり、シャンプーに終わる」と断言しました。実は、7割程度の方がシャンプーを正しくできていないと感じているとのこと。昔よりも髪がまとまりにくくなった、うねりやすくなったと感じている人は、特にシャンプー方法を改めてみた方がよいそうです。
一番のポイントは、シャンプー前にお湯で髪を濡らす「プレリンス」。「60秒から100秒、頭皮をシャワーで流すと、油分や汚れが浮いてきます。優しくマッサージをしながら流すのが効果的です」。こすったり、たたいたりすると逆効果なので、要注意。頭を触ってみて1センチ以上、頭皮が動かない人は血流が滞っている可能性が高いそう。「毎日コツコツが、コツです!」と、坂巻さんはユーモアたっぷりにアドバイスしました。
後半ではメイクについてのアドバイスもありました。「ふだんのヘアメイクが昭和のままで、自己流から脱出できない! 年相応の『きちんと見え』メイクをするための一番のポイントは何ですか?」との質問に、高橋さんは「例えば同じブラウンベージュでも、今年の新作コスメを使ってみると今風に見えると思います。同じような色に見えても、毎年微妙に流行は変化していますので、積極的に新しいアイテムを取り入れてみてください」とアドバイス。そして、「できれば、メイクに合わせて髪の色も変えてみるのも良いと思います。今、人気のアッシュ系のヘアカラーは、顔色が1トーン明るくなるので、幅広い年齢の方におすすめできる色です」と紹介しました。
続いての質問は、「最近、髪のボリュームがなくなってきており、ヘアアレンジがマンネリ化している。ボリュームアップして見える、手軽な『きちんと見え』ヘアアレンジが知りたい!」という内容でした。この質問に対し、高橋さんは「分け目を変えるとボリュームが出ます」、坂巻さんは「前髪を立ち上げると“昭和感”が出てしまうので、少しだけルーズに崩すというような今っぽいアレンジを試してみてください」とアドバイスしました。
注意しなくてはいけないのは、ルーズにするのはあくまでも「少しだけ」ということ。若いうちはルーズなスタイルも映えるけれど、大人の場合は疲れた印象に見えてしまうこともあるからだそうです。坂巻さんは「90%はきちんとして、10%ルーズにしてみるのが大人のナチュラル。大人のナチュラルは計算して作り上げるものです」と強調されました。
最後に高橋さんから、これからの季節へ向けたスキンケアとメイクのポイント解説がありました。「スキンケアの基本は、何よりもクレンジング。肌をしっかりと保湿するためにも、クレンジングは大切です。さらに、イベントの多いこの時期のメイクは、ツヤを意識すると華やかさが出ると思います。目の下や頬骨部分など、3〜4カ所にハイライトを入れると、きれいに光が反射するので自然に見えます。メイクはいろいろと頑張り過ぎても疲れてしまうので、まずは自分のポイントを一つにしぼって、楽しみながらできることを増やしていけば無理なくできると思います」
忙しいAG世代が明日からでも気軽にチャレンジできそうなアドバイスをたくさんいただき、Aging Gracefullyセミナーは盛況のうちに終了しました。