Aging Gracefullyプロジェクト勉強会@大阪〈後編〉
管理職世代は知っておきたい、更年期の基礎知識
Project report キャリア ヘルスケア ジェンダー 更年期
[ 20.01.28 ]
朝日新聞社と宝島社の女性誌「GLOW」が取り組む「Aging Gracefully」(以下、AG)プロジェクトは、40代、50代のAG世代の女性たちのエンパワーメントを目的に、様々な活動を展開しています。2019年11月15日には朝日新聞大阪本社で、「健康経営における、女性の健康について」をテーマに企業向け勉強会を開催し、住宅メーカーやエネルギー関連企業、行政機関など33社・団体から、人事やダイバーシティー、CSR、広報の担当者ら41人が参加しました。
勉強会では、経済産業省近畿経済産業局の日村健二課長の講演に続き、大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部で女性の健康推進プロジェクトリーダーを務める西山和枝さんが、 「管理職世代の健康課題とは」と題して講義を行いました。
西山さんは自己紹介の中で、「エクオール」という、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをする大豆由来の成分を含む栄養補助食品を担当し、様々な企業で女性の健康に関するセミナーを行っていることを説明しました。そして、女性活躍推進法の施行など、働く女性を支援する施策が広がりつつある中、「企業は今後、女性が長く働き続けられるように、また、管理職になれるように、ヘルスリテラシー向上への対応や、健康面でのサポートに力を入れていく必要があります」と語りました。
更年期は、閉経(おおむね50歳)の前後5年を指します。この時期に女性ホルモンがゆらぎながら急速に減っていくことにより、様々な不調が生じます。症状は人によって様々ですが、主なものとして、のぼせや冷えといった血管・運動神経系の不調、肩こりや関節痛といった身体の不調に、イライラやうつなどがあることを西山さんは説明しました。
その上で西山さんは、こうした症状があっても、何もせずやり過ごしている女性が多くいる可能性を、日本医療政策機構の調査結果を示して語りました。調査は2018年に、全国の18歳から49歳の働く女性2千人を対象に実施されたものです。更年期症状の経験者に、対処方法を尋ねたところ、2位の「市販薬を飲む」(15.1%)、3位の「処方薬を飲む」(8.6%)を抑え、「何もしていない」という人が64.4%と堂々の1位でした(n=337、下記のグラフ)。
また、元気な時の仕事のパフォーマンスを「10点」とした場合に、更年期症状でそれがどのくらい変化するかを尋ねたところ、「5点以下」と回答した人が46%に達しました(n=318)。さらに、回答者を「ヘルスリテラシーの高い群」と「低い群」に分けたところ、高い群では更年期症状があっても仕事のパフォーマンスが5.830点という自己評価だったのに対し、もう一方は5.439点と差があったそうです(下記のグラフ)。
「不調を我慢せず、かかりつけの婦人科医や薬剤師に相談したり、婦人科で低用量ピルやHRT(ホルモン補充療法)等を処方してもらったりしてコントロールするほか、家族や職場の人に相談して、仕事を分担してもらうことなども必要です」と西山さんは語りました。
その後は、グループディスカッションへ。女性の健康課題への理解を企業の中でどう進めていくかについて意見を交わしました。あるグループからは、「メタボや禁煙などと並び、更年期についても健診などの際に情報提供があると良いのでは」といった意見が出ました。また、女性自身も更年期症状や対処法についての知識がないという指摘も多く、「健康診断の採血で女性ホルモン値を計測するなど、女性にも自覚を促す取り組みがあってもよいのでは」という声もありました。さらには、トップダウンで女性活躍推進を進めるため、健康経営の顕彰制度のように、40代、50代の女性が活躍できている企業を顕彰する制度があると良いのではないかという提案もありました。
各グループの発表を受けて、講師の日村さんは「女性が活躍するステージを、男性も含めて皆でつくっていく。その動きを後押しするため、経産省もフットワークよく対応していきたい」とコメントしました。また、西山さんも「様々な企業の方々と女性の健康について考えたり、話し合ったりする機会を今後もつくっていきたいと思います」と語りました。最後は参加者全員で記念撮影と名刺交換。話し込む参加者の姿も見られました。