Aging Gracefullyプロジェクト勉強会
@名古屋〈後編〉
管理職世代の健康課題とは?
Project report キャリア ヘルスケア ジェンダー 更年期
[ 20.06.22 ]
朝日新聞社と宝島社の女性誌「GLOW」が取り組む「Aging Gracefully」(以下、AG)プロジェクトは、40代、50代のAG世代の女性たちのエンパワーメントを目的に、様々な活動を展開しています。
2020年1月31日には朝日新聞名古屋本社で、「健康経営における、女性の健康について」をテーマに企業向け勉強会を開催。機械メーカーやエネルギー関連企業、百貨店、大学など24社・団体から、人事やダイバーシティー、CSR、広報の担当者ら33人が参加しました。
勉強会では、経済産業省中部経済産業局ヘルスケア産業室の脇本佳代室長補佐の講演に続き、大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部で女性の健康推進プロジェクトリーダーを務める西山和枝さんが、「管理職世代の健康課題とは」と題して講義を行いました。
西山さんは自己紹介で、「エクオール」という、女性ホルモン(エストロゲン)に似た働きをする大豆由来の成分を含む栄養補助食品を担当していることや、女性の健康に関する企業向けセミナーを各地で実施していることなどを説明しました。
また、これらの活動を通じて、女性自身も、自分の体調が年齢とともにどう変わっていくのか知らない人が多いと感じていると語り、「女性活躍推進法など、働く女性を後押しし、女性の管理職登用を進める動きが広がる中、女性特有の健康課題へのリテラシーを社会全体で高めていくことがますます重要になります」と指摘しました。
続いて、更年期について解説しました。更年期とは、閉経(おおむね50歳)の、前後5年、計10年間を指します。この時期に女性ホルモンがゆらぎながら急速に減ることにより、様々な不調が生じます。不調を自覚する人は4割程度とされ、症状も様々です。主なものとしては、のぼせや冷えといった血管・神経系の不調、肩こりや関節痛といった身体面の不調、イライラやうつなどの精神面の不調があることを西山さんは説明しました。
また、不調を自覚していても、何もせずやり過ごしている女性が多くいる可能性について、西山さんは日本医療政策機構の調査結果を示して語りました。
調査は2018年に、全国の18歳から49歳の働く女性2千人を対象に実施。更年期症状の経験者に対処法を尋ねたところ、「市販薬を飲む」(15.1%)、「処方薬を飲む」(8.6%)を抑え、「何もしていない」という人が64.4%で1位でした(下記グラフ参照)。
また西山さんは、一般社団法人「日本女性医学学会」が作成した「更年期・セルフケア編」という5分ほどの動画を紹介。
不調を感じたら、食生活や生活習慣を見直すなどのセルフケアに取り組み、それでも改善しない場合はかかりつけの婦人科医や薬剤師に相談したり、婦人科でHRT(ホルモン補充療法)を受けたり、漢方などを処方してもらったりしてコントロールすることが大事だと指摘しました。
その後は、グループディスカッションへ。女性の健康課題に対する自社の取り組みなどについて50分ほど意見を交わし、最後に全体で共有しました。
女性の健康課題への理解を社内で広げる方法としては、まずはトップやミドル層がその重要性を宣言することが大事だという指摘がありました。また、男女を問わず、新任管理職研修のプログラムに女性の健康課題について学ぶ時間を設けたという事例や、乳がん検診の啓発のために、樹脂で作られた、しこりを組み込んだ乳房のモデルを社員に触ってもらう機会を作っているといった事例なども紹介されました。
ある班からは「生理痛や更年期の症状を和らげる方法や、ピルの服用方法など、不調への具体的な対処法を学べる機会がもっとあるといい」といった声があがりました。こうした社員向けの健康セミナーを就業時間内に実施している社もあり、受講率を高めるための工夫が必要であることが示されました。
また、女性が自分の健康状態について職場で話すことにハードルがあるという問題については、男性管理職から「セクハラだと受け取られないような聞き方を知りたい」といった声や、ベテラン女性社員から「先輩として、話しやすくなる雰囲気作りを心がけている」といった意見が出ました。
女性の健康リテラシーや関心を高めるユニークな事例としては、社員の家族を巻き込んだ取り組みが紹介されました。男性社員の配偶者を対象にカラオケ会やランチ会などを実施し、その前後に血糖値を測るなど、健康に関する学びの時間を設けるといった形です。こうした取り組みを通じて、男性社員にも女性の健康について関心を持ってもらうことができるのではないかという指摘がありました。
最後は参加者全員で記念撮影と名刺交換。話し込む参加者の姿も見られました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。