Aging Gracefullyプロジェクト オンライン勉強会〈前編〉
男性管理職に知って欲しい、女性社員の健康課題とは
Project report キャリア ヘルスケア ジェンダー 更年期
[ 20.11.24 ]
朝日新聞社と宝島社の女性誌「GLOW」による「Aging Gracefully」(以下、AG)プロジェクトは、40代、50代のAG世代の女性たちのエンパワーメントを目的に、企業向けの勉強会や一般の方向けのセミナーなど、様々な活動を展開しています。
10月16日には、更年期の健康課題への啓発を目的に定められた10月18日の「世界メノポーズデー」に向けて、初めてオンラインで企業向けの勉強会を実施しました。
講師には、大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業部・女性の健康推進プロジェクトリーダーの西山和枝さんと、ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵さんをお迎えし、「女性が長く働き続けられるために、男性管理職にできること」をテーマにご講演いただきました。自動車、薬局、住宅、機械メーカーなど全国の40社超の人事やダイバーシティー、CSR、広報担当者ら約180人が聴講しました。
当プロジェクトの勉強会の参加者はこれまで、9割近くが女性でしたが、活動を続ける中で、「女性が直面している課題を解決するには、男性の理解が欠かせない」という声が多く聞かれるようになりました。このため今回は、主に男性管理職に向けた内容にして募集。男性の参加者は、普段の3倍に増えました。
最初に登壇した大塚製薬の西山さんは、「男性管理職にぜひ聞いて欲しい!~女性が長く働き続けるための健康投資とは~」と題して講演。
女性は月経周期によるホルモンバランスの変化で体調に波があること、更年期にはホットフラッシュやほてり以外にも、のぼせや冷えといった血管・神経系の不調、肩こりや関節痛といった身体面の不調、イライラやうつなどの精神面の不調、手指のしびれや脱毛など、多種多様な不調が生じうることを紹介しました。
また、更年期の後には、動脈硬化や高脂血症、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といった生活習慣病が起きやすくなることなどを紹介しました。
昨今の「女性活躍推進」の流れで、女性管理職を増やす取り組みが続いていますが、西山さんは、更年期障害により昇進などを「辞退したことがある」「辞退しようとしたことがある」女性が7割近くいたという民間機関の調査結果を紹介。
また、菅義偉首相が打ち出した、不妊治療の保険適用拡大に向けた議論についても、「治療の日に合わせて仕事を休めるのかどうか見通しが立たず、悩んでいる人も少なくありません」と指摘。「女性に長く働き続けてもらうためには、会社が女性の健康課題と向き合い、理解し、サポートしていくことが欠かせません」と語りました。
また西山さんは、働く女性自身も、健康管理への意識やリテラシーを高めていく必要性を指摘しました。日本医療政策機構が2018年、全国の18~49歳の働く女性2千人のうち、更年期症状があると自覚している方に、その対処方法を尋ねたところ、「何もしていない」が6割超でトップだったためです。
「規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度な運動などの基本的なセルフケアをした上で、症状が重い場合は婦人科で薬物療法を受けたり、女性ホルモンに似た作用を示すエクオールのサプリメントなどを摂取したりして、生産性を保つ努力が必要です」と語りました。
第二部ではワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室さんが、「ますます多様化する職場で、管理職に求められるスキルとは」と題して講演しました。その模様は後編でご紹介します。