一歩踏み出すのに、年齢なんて関係ない!
40代、新たな仕事でライフシフト<前編>
GLOW presents キャリア ライフスタイル マインド
[ 20.12.21 ]
「人生このままでいいのかな」というモヤモヤした気持ちに対し、自分らしいやり方とタイミングで具体的な行動を起こした4人の女性たちにお話を伺いました!
“目利きの力を最大限生かして”
女優←→ECショップ「羽田甚商店」オーナー
羽田美智子さん
▶︎Profile
1968年9月24日生まれ、茨城県出身。主な出演作にドラマ『特捜9』シリーズ、『おかしな刑事』シリーズがある。現在エッセイ『羽田さんに聞いてみた、小さな幸せの見つけ方』(宝島社刊)が好評発売中。
※ワンピース(まとふ/matohu 表参道本店) イヤリング、ネックレス(すべてアガット)
- ― biography ―
- 30代 京都の文化を伝える教養番組にレギュラー出演。
- 40歳 京都の街あるきガイドブックを執筆。
- 45歳 ECショップの構想を具体的に考え始める。
- 46歳 茨城で両親が営む羽田甚商店が閉店する。
- 50歳 ECショップ『羽田甚商店』を立ち上げる。
作り手、買い手、売り手、みんなの笑顔が原動力です
約150年前、宮大工だった先祖の代から継承されてきた“羽田甚”という屋号。
昨年、女優業と並行して6代目を受け継いだ羽田美智子さん。ショップの構想をおぼろげに思い描き始めたのは、実は20~30代の頃にさかのぼる。
「仕事で日本各地を訪れる機会に恵まれ、とりわけ京都には6年間毎月通っていました。多種多様な職人さん、生産者さんに会ううちに、彼らの仕事は日本の財産だと気づいたんです。この人たちの暮らしを守り、後継者の育成をするには、やっぱり自分たちで仕事を作るべきだよなぁ、と。私が実際に見て、食べて、使った上で“これはいい!”と心底思ったものだけを扱い、みなさんに喜んでいただけたら、それは私にとっても至福なんです」
頑張ってきた過去を肯定し、ホッとできることと向き合う
デビュー以来、競争の激しい芸能界で常に第一線を走り抜けてきたことも、ショップ立ち上げの理由のひとつ。
「“過去にこれだけ活躍したから、今はちょっとダメでもいいよね”という訳にはいかないのが女優業。
でも、常に成長して輝き続けるなんて本当は無理なこと。それでも必死で食らいついてきたから、疲弊感もあったと思います。特に40代半ばになると気力だけではなかなか立ち向かえなくなるし、丁度その頃大切な先輩を亡くしていて、人生のタイムリミットを意識し始めたんですね。そろそろ本当に自分のやりたかったことと向き合う時期なのかも、と。
だから、ホッとできて、心から楽しめることに目を向けようと思ったんです。生産者さんたちは共に歩み、励まし合える仲間。女優業とは別の場所で心強い仲間ができたことで、私の人生の新しい扉が開いたと思っています」
上から
ECショップのトップ画面は、暖簾をくぐる羽田さんのイメージ写真。
長年の友人、アロマセラピスト濱美奈子さんと。
抗菌、抗ウイルス効果が期待できる大人気のアロママスクスプレー『M’s aroma Protect』。
“自らが輝くために!”
事務職→動画クリエイター
あいりさん
▶︎Profile
1976年生まれ、愛知県出身。短大卒業後、約20年間OLとして働く。司会業を経て、コスメ・ファッション・ライフスタイルを中心とした動画クリエイターとなる。現在、動画チャンネル登録者数は26万人を超える。
- ― biography ―
- 20歳 短大卒業後、会社員として事務職に就く。
- 37歳 長年の夢だった司会業をスタートする。
- 39歳 ブログのために、初めて動画を作る。
- 40歳 誕生日、満を持して動画チャンネルを開設。
- 41歳 開設1年でチャンネル登録者数5万人を突破。
- 42歳 東京・渋谷でファンミーティングを開催。
今がいちばん若いのだから“始めどき”は今
40歳の誕生日に動画クリエイターとしてデビュー。4年経った今も、着実にファンを増やし続けるあいりさん。
「最初の頃は、“アラフォーにもなってYouTuberなんて、どうしちゃったの?”と、同級生に陰で笑われていたんですけど、今では見る目が変わったみたいです(笑)。かくいう私も自分の年齢や世間体が気になってしまって、1年くらい悩んだ挙げ句、覚悟を決めてYouTubeを始めたという経緯があります」
短大を卒業して就職し、寿退社、落ち着いた頃に派遣社員として再就職。なんとなく世間の“当たり前”に合わせるように生きてきて、30代後半に差し掛かる頃、「このままじゃダメだ」と、急に不安を抱くようになったそう。
上:20歳の頃、会社員として働く。
下:講演会の司会をしているところ。地元の祭りからスタートし、結婚式やイベント、キャラクターショーなどのMCも経験。
人生でやり残したことに 向き合う勇気を持とう
「見た目も体力も下り坂を実感するようになったり、やり残したことに挑戦してもうひと花咲かせてみたい、という切実な気持ちがわき上がってきました。考えた末、ずっとやりたかった司会業に挑戦しようと決めたんです」
この思いつきを周りに公言するうち、祭りの司会のボランティアを依頼される。これを機に、人づてに仕事のオファーが来るように。転機は、披露宴の二次会の司会を引き受けたこと。
「これだ!と思いました。台本がきっちりある披露宴よりも、ほぼアドリブで進行でき、笑いの要素も盛り込める二次会の方が私には合っていたんです。私の中にある芸人魂が呼び起こされ、その夜はアドレナリンが出て眠れないくらいでした。この経験が、動画投稿への足がかりになったんだと思います」
そうして平日は会社員、土日に司会業、隙間時間に動画クリエイターという忙しい生活を3年ほど継続。
「動画の編集はすべて手探りで独学。今考えるとよくやったなぁ、という感じですよね。当時は、大変だなんて思わず、いきいきしていたと思います。動画は今も変わらず企画・撮影・編集すべてひとりでやっているのですが、やっぱり視聴者様からの反応があるとやりがいを感じますね。だからあの時、年齢にひるまず、世間の目を恐れず、自分の気持ちと向き合う勇気を持って本当に良かったな、と心から思っています」
上:動画クリエイターとして活動を開始した40歳の頃。
下:ファン100人と対面で交流するファンミーティングを開催し大盛況。
出典:「GLOW」2020年12月号
撮影=有馬秀星〈MOUSTACHE〉 スタイリング=坂本久仁子(羽田美智子さん) ヘア&メイク=木下 優(羽田美智子さん) 取材・文=土谷沙織