快眠が難しくなる40代。さらに寝苦しい残暑、どうすれば!?
ヴィーナス期こそ睡眠が重要です!
GLOW presents ヘルスケア ハウツー
[ 21.08.30 ]
「寝つきが悪くなった」「夜中に目が覚める」「ぐっすり眠った気がしない」……。
ヴィーナス期(更年期)は睡眠の悩みが多発するお年頃。さらにこの時季は残暑も加わり大変!
健やかに眠るにはどうしたらよいでしょうか?
\睡眠のエキスパート、おふたりにお聞きしました!/
- 睡眠コンサルタント
友野なおさん
睡眠コンサルタント、SEA Trinity代表取締役。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間作りを得意とし、講演、企業の商品開発、執筆活動などを行う。
- スリープクリニック銀座
院長 渋井佳代さん
国立精神・神経センター精神保健研究所研究員の経験もある日本睡眠学会専門医。2007年よりスリープクリニック銀座で診療を行っている。女性の睡眠障害に理解が深い。
睡眠時間だけに固執せず、眠りの質を上げよう!
GLOW世代の女性は、この年代ならではの日々のストレスやホルモンバランスの乱れ、加齢による波状攻撃に襲われて、寝つけない、夜中に目が覚める、早朝に起きてしまうといった睡眠障害に悩まされている人が少なくありません。
「子どもの受験の心配、子離れの不安、親の病気の心配や付き添い、家族の帰宅時間がバラバラで家事に追われるなどが原因で不眠になる女性は多いですね」(渋井先生)
他に自分自身の将来に対する不安、職場での人間関係や責任の問題、やらなきゃいけないことがたくさんあるのに体力がついていかないといったこともストレスに。
実際、厚生労働省による調査では、40代の女性の半数以上の睡眠時間は6時間未満という結果も。睡眠時間を長くするのは難しいとしても、深く眠ると帳消しにできるのでしょうか。
「睡眠時間の量と質を確保することがベストです。とはいえ、睡眠時間は十分でも熟睡できなければ睡眠の質が悪くなって集中力や記憶力、注意力が低下する、イライラするなど睡眠不足と同様の不具合が起きます。睡眠不足を完全に補うことはできませんが熟睡する工夫を。深く眠ると成長ホルモンが分泌されるので、疲労回復や細胞修復が促されます」(渋井先生)
それでも改善できない場合は病院で相談できる?
「日常生活に支障があるなら更年期に詳しい婦人科や心療内科、睡眠外来などで薬を処方してもらうのも選択肢になります」(渋井先生)
\3つの要因が重なることでより眠りにくく!/
ヴィーナス期をとりまく、不眠の3大要因
加齢
「睡眠の量と質は加齢に伴って変化します。40代以降は変化が顕著になり、70才を超える頃になると睡眠時間そのものも短くなります」(渋井先生)。私たちの年代で睡眠の様子が変わってくるのは自然なことなのです。
様ざまなストレス
家族の問題や仕事のストレスの他にも、記憶力や体力の低下を感じ始めるといったことも地味にストレスに。コロナ禍で仕事やお金の問題に直面していれば、平時でも不安定になりやすい睡眠に影響が出るのは必至です。
ホルモンバランスの乱れ
「女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少すると、様ざまな体調不良や情緒不安定、抑うつ状態などとともに不眠を訴える人が多くなります。のぼせやほてりで寝つけない、夜中に目がさめてしまうことも」(渋井先生)
睡眠時間6時間未満の割合がいちばん高いのは40代女性!
多くの40、50代女性が6時間未満の睡眠で頑張っていることが判明!世界的に見てもOECDによる2009年の報告では日本人の平均睡眠時間は加盟国18カ国中、韓国に次いで2番目に短い約7時間50分。最長はフランスで約8時間50分。
出典:平成29年 厚生労働省「国民健康・栄養調査」をもとに作成
コロナ禍で睡眠時間は増加しているのに睡眠の質は下がっている!
睡眠時間は確保できたけれど寝つきが悪くなっている模様。「外出自粛で運動量が減り、不安なニュースを聞いているとストレスで睡眠の質が悪くなります。密を避けて5000歩以上歩く、自然に触れる、入浴剤を活用する、ヨガや瞑想をするといいですね」(渋井先生)
資料提供:花王 生活者研究部/インテージ
暑い時期の快適な睡眠環境とは?
睡眠時間が短くなりがちなヴィーナス期は、睡眠の質を高めることが大切。そのためには、睡眠環境を整えることが大前提。
睡眠コンサルタントの友野なおさんに、寝苦しい残暑の夜を快適に過ごすポイントを教えていただきました。
明るさ
就寝中は真っ暗、朝は自然と明るく
就寝中ずっと明かりがついていると、肥満度やうつ病リスクが上がるという研究も。夜は真っ暗、朝は自然と室内が明るくなると◎。
夏は日の出が早いので、遮光カーテンと、設定時間にカーテンが開くガジェットの併用もおすすめです。
カーテンレールに設置してスマホと連動させれば、設定時間に自動でカーテンの開閉ができる。太陽光で自然な目ざめに。
めざましカーテン mornin’ plus 7678円(ロビット)
枕
頭を冷やす対策&寝返りしやすいもの
快眠のためには「頭寒足熱」が◎。頭が熱くならないように、冷却グッズや接触冷感の枕カバーなどで対策を。枕は、立ち姿勢と同じ首の状態で支えてくれる高さと形状で、寝返りしやすい頭3個分の幅があるものがおすすめ。
幅広め&両サイド硬めで、寝返りしても理想の頭の高さをキープ。枕内のシートコアが抜き差しできて高さ調節も可能。
エアウィーヴ ピロー S-LINE 2万1780円(エアウィーヴ)
パジャマ
冷房対策にきちんと袖&丈のあるものが◎
冷房を使うので、パジャマは露出度を低くして。袖&丈は最低七分で、夏用素材でも適度な保温性のあるものを。寝汗は睡眠の質が下がるので、吸汗性の高い素材が◎です。
3年間農薬や化学肥料を使用していない農地で生産されたオーガニックコットンを使用。やわらかく、優しい肌ざわり。
極眠 オーガニックコットンパジャマ 1万6500円(ナイガイ)
布団
涼やかさを保ちつつ適度な保温性も必要
夏は背中が蒸れやすいので、敷き布団に接触冷感ジェルパッドやい草のシーツカバーなどを活用。
更年期で全身汗だくになる場合は、バスタオルを敷いて。掛け布団は綿や麻など、肌触りがサラッとしたタオルケットが最適です。
綿100%で軽くやわらかな、肌に優しいマシュマロガーゼ®素材。保温性、吸水性・通気性に優れ、ほどよいボリューム感。
マシュマロガーゼスロー 140×200cm 1万9800円 (UCHINO)
温度
冷房&扇風機で室温は26度をキープ
28度を超えると寝苦しさを感じるので、寝ている間は冷房で26度程度を維持して。40代は冷えすぎもNG。冷たい空気が下にたまらないように、扇風機などで空気を循環させ、冷房などの風が体に直接当たらないように注意。
足もと
足首が冷えないようにレッグウォーマーを
足裏から体の熱を放出することで入眠につながるため靴下はNG。しかし快眠には「頭寒足熱」が重要なうえ、40代は冷えやすいので、足首を温めることを意識。お風呂上がりにレッグウォーマーをつけるのを習慣にして。
\就寝前のNG行動/
【NG 1】PC、スマホ、テレビは就寝1時間前に手放す
PCやスマホのブルーライトは睡眠ホルモンの分泌を抑制し、寝つきが悪くなる原因に。
お風呂から出たら触らないなどルールを決めて。
【NG 2】21時以降は激しい運動を控えて
よく眠れるようにと夜にランニングをするのは逆効果。
興奮して眠れなくなります。21時以降はストレッチやヨガなどに切り替えを。
【NG 3】30分眠れない時は寝室から出てリセット
眠れないのにベッドに居続けると、ベッドが休む場所ではないという意識付けに。
30分経って眠れないなら寝室から出ましょう。時計は見ずに、光の刺激を受けない単調作業を。眠気を感じたらすぐにベッドに戻ること。
「ぬり絵」がいいらしい!
電子機器を使わず単調作業で没頭できるぬり絵は、入眠儀式として特に効果的。眠くなる仕掛けがいっぱい。
『ぐっすり眠れる 不思議なぬり絵 花の旅路』1210円(西東社)
出典:「GLOW」2021年9月号
イラスト=二階堂ちはる 取材・文=黒川ともこ、山本二季