ヴィーナス期の気になる病気
<子宮・卵巣の病気編>
GLOW presents ヘルスケア 学び
[ 21.11.15 ]
<乳がん編>に引き続き、早期発見したい子宮、卵巣の病気は注意が必要です。
卵巣は女性ホルモンの製造工場で、子宮は胎児の保育器。それぞれのお役目が終わりに近づくヴィーナス期では注意したい病気も違ってきます。
※GLOW世代特有の体の変化期である更年期を「ヴィーナス期」と表現しています
子宮・卵巣の病気を経験している人はとても多い!
ちょっとした不調は話のネタにしやすいですが、婦人科の病気はなかなか口にしにくいもの。ですが、トラブル経験者は実は多いのです。
- \実は担当編集も経験あり!/
GLOW編集Y(46才)
[子宮筋腫]
人間ドックで貧血と診断をされたのが7~8年前。
内科で鉄剤を処方してもらったものの、飲むのをやめるとまた貧血になるという繰り返し。原因がわからないまま数年過ごしていましたが、子宮頸がん検診で子宮筋腫を指摘され、婦人科に行ったら『なんでこんな大きさになるまで気づかなかったの!』と。思い返してみれば、以前よりも生理の出血量が多くなっていたのに、なぜか気づいてなかったんです。
閉経を迎えるまでなんとかこのまま自然にまかせて乗り切りたい!と思い、手術はおろか投薬治療もしばらく拒否していたのですが、ある日突然、尿閉(おしっこがまったく出ない)になり、深夜に泌尿器科に駆け込んで調べたら、子宮筋腫が尿道を圧迫しているのが原因ということが発覚。緊急手術が必要となり、腹腔鏡手術で筋腫を取りました。腹腔鏡手術で体への負担も少なく、手術後は生理の出血量も以前より減り、『私はなにと戦っていたのだろう、と衝撃を受けました。もっと早く取ればよかった』としみじみ思いました。
- 腹腔鏡手術時に執刀医が撮影した直径約8cmの筋腫。
こんな塊がお腹にあったのか!と衝撃を受けました。
- Kさん(55才)
[子宮筋腫]
40代後半の頃、夜中にこれまでに感じたことがないほどの激しい腹痛が起きて近所の内科に駆け込みました。 先生から「婦人科の腹痛ですね」と告げられて救急搬送で総合病院へ。診察したら巨大な子宮筋腫が腹痛の原因とわかり、緊急手術で子宮を全摘しました。それまで婦人科にかかったこともなく、突然子宮を失ってしまいました。
- Hさん(52才)
[卵巣のう腫(チョコレートのう胞)]
不正出血があって念のために婦人科に行ったのが40代の前半の頃。検査の結果、卵巣に小さな腫瘍が見つかりました。
しばらく経過観察していたのですが少しずつ大きくなってきて、このままだとがん化する可能性があると言われて手術することに。開腹ではなく腹腔鏡手術でできたのも手術を決断するきっかけになりました。
- Mさん(48才)
[子宮頸部異形成(子宮頸がんの前段階)]
自治体の検診で子宮頸がん検診を受けたらまさかの「要再検査」に。
web検索すると「円錐切除」というワードがたくさん出てきて、手術するの?と焦りましたが、検索を続行すると子宮頸がんの異形成で評判のよいクリニックが見つかって通院することに。拡大鏡で確認するコルポスコピーで経過観察を続けて円錐切除は免れました。
GLOW THE HEALTH
生理痛がひどい、量が多いのは普通ではありません
生理時に痛み止めを飲むのは当たり前、生理の時はずっと夜用ナプキンじゃないと不安という人は、子宮と卵巣に病気を抱えている可能性があります。下腹部が痛むのも婦人科の病気のサインかもしれません。
数日ガマンすれば元どおりになるので病院に行こうと思わないかもしれません。でも、病気は放っておいてもよくならないどころか悪化します。子宮筋腫が大きくなれば手術が必要になることもあるし、卵巣のう腫は悪性の場合もあります。
子宮頸がんでは年に約3000人が亡くなっています。子宮頸部は膣から肉眼で見える場所にあり、実は見つけやすいがんです。内診台で検査を受けるついでに経膣エコーを受ければ子宮体部や卵巣の状態も知ることができますよ。
下着に茶色いシミがついた、生理じゃないのに出血したら不正出血。閉経後の不正出血は子宮体がんの可能性があるので見逃さないで!
子宮の病気
[子宮内膜症]
生理周期に合わせて増殖し、ひどい生理痛を引き起こす
子宮内膜に似た組織が子宮以外の場所にできるもので、生理周期に合わせて増殖する。卵巣や子宮の周辺にできることが多く、ひどい生理痛や、日常的な腰痛・下腹部痛などが起きることも。閉経すれば症状は軽減。
[子宮筋腫]
生理時の出血量が多く、貧血になることも
40才以上では約4割の人が持っている良性腫瘍で、エストロゲンによって大きくなる、生理の量が以前より増えた、貧血と指摘された人は子宮筋腫が大きくなっている可能性が。閉経するとエストロゲンの減少に伴って悪化しない。
[子宮体がん]
50才を過ぎたら検診を受けるのが理想的
生理周期に合わせて内膜が厚くなる子宮体部にできるがん。生理があるうちは、生理のたびに内膜がはがれ落ちることで細胞がリセットされるため起きにくい。 閉経後に不正出血があった場合は要注意。
[子宮頸がん]
子宮頸部の細胞をこすりとって検査できる
HPVというウイルスによって子宮の入り口にできるがんで年間約1万人が罹患。H P Vに感染→細胞の異形成→子宮頸がんという経過をたどる。検診で「要精査」となってもがんになる前の状態ならば確立された治療を受けられる。
卵巣の病気
[卵巣のう腫]
ひどい生理痛はチョコレートのう胞かも
ほぼ良性ですが、子宮内膜症によって卵巣に血液のたまりができるチョコレートのう胞は、大きくなると卵巣がんになる可能性も。ひどい生理痛で悩んでいる人は、早めに婦人科の受診を。
[卵巣がん]
出産経験がなくて排卵回数が多いほどリスクが上がる
卵巣にできる様ざまな腫瘍のうち、およそ1割が卵巣がん。40代からかかる人が増えて50~60代がピークに。出産経験がなく、排卵回数が多いとリスクが上がるといわれている。小さなうちはほぼ自覚症状がない。
出典:「GLOW」2021年11月号
イラスト=二階堂ちはる 取材・文=黒川ともこ 取材協力=長岡美樹先生(宮益坂メリーレディースクリニック)