わたしが主役のライフデザイン
「会社員という働き方」を改めて考える
GLOW presents キャリア ハウツー マインド
[ 21.12.20 ]
組織の中で成長し、仕事のやりがいを見つける
いろんな働き方の選択肢の中で、やはりスタンダードは会社員として雇用されること。その中でやりがいを感じ、定年後の人生にもつながる自律的な職業観を得るには?
- 大塚製薬 西山 和枝さん
1990年入社。MR(医薬情報担当者)を経て、2015年に「女性の健康推進プロジェクト」リーダーに就任。サプリ「エクエル」をはじめ、健康リテラシー向上のための情報を発信。
一度立ち止まることで 見えてくる大事なものも
私が大塚製薬で働き始めた90年代は、男性が多い職場で特に、朝から晩まで働いて就業後は飲みに行く、そんな日常が当たり前でした。私自身も20代、30代はまさにバリキャリ。年2〜3回の海外旅行を楽しみに猛烈に働き、充実感を味わっていたのです。
ところが40代前半、ある新しい薬のプロジェクトマネージャーを任されたのですが、その製品を自社から手放すことに。
いきなり崖からつき落とされたような気がして、ひどく落ち込みました。「それまで突っ走ってきたけれど、何だったのかな?」と。でも、そこで一旦立ち止まって自分の人生を振り返ったのです。そうしたら、仕事ばかりで私生活をないがしろにしていることに気がつきました。これが私の人生の大転機となり、その後まもなく今の夫となる人と出逢い、45歳で結婚。新たな人生の扉を開くことに繋がりました。
仕事で充実感を味わう一方で、経験を積んでステップが上がるごとに新しい壁に対峙することもありました。30代で初めて部下を持った時は、(今考えると)変な自信もあり、「私は西山だ!」(笑)みたいに怖いもの知らずで突き進んでいました。周囲からは気負い過ぎと言われたこともありましたが、できるだけ部下の言葉に耳を傾け、部下、チームと一緒に、自分自身も一歩ずつ階段を登っていた感じです。今の私は、昔の様な気負いもなくなり、自然体で仕事ができています。そして、コミュニケーション、メンバーの評価、得意先との難しい案件の処理、この3つがリーダーの仕事だと考えるように。
若くても尊敬できる人はいる。すごいと思ったら褒める。リーダーこそ、素直に人を認め、いいものを受け入れる姿勢が大切。組織の中で働きながら学んだことが多々あります。
一生を通して追求したい、やりがいのある仕事
同じ会社に長くいると、いろんな部署を経験できるのがいいことだと思います。現在の私の仕事は、「女性の健康推進プロジェクト」リーダーとして、生活者と対話しながら女性のヘルスリテラシー向上のために啓発活動をすること。更年期やPMSへの理解が女性自身のみならず周囲にも広がれば、女性も働きやすくなるはずです。女性が健康で元気であれば、家庭も社会も円満・幸せになる。そういう世の中になることを願いながら、定年まで頑張って働いていこうと思います。
西山さんに5つの質問
「働き続けることの醍醐味とは?」
Q1:仕事で最も大事なことは?
▶︎▶︎ 事前準備。
何をやるにも、予め準備をしておかないと相手に失礼だと思います。新入社員の頃から叩き込まれてきたことを、この歳になっても大切に心に留めています。
Q2:組織で培った武器は?
▶︎▶︎ コミュニケーション能力。
いろんな方とお話しする経験を積めたことで培われたコミュニケーション力は財産。対話の中から吸収したいし、私も自分が知っていることを教えてあげたい。そういう高め合う姿勢を大切にしています。
Q3:何歳まで働きたい?
▶︎▶︎ 体力・気力の続く限り。
まだまだ余力のあるうちに定年を迎え、その後は女性の健康推進のためのボランティア活動をしたいです。目指すは「近所のお節介なおばあちゃん」です。
Q4:働き続けてよかったことは?
▶︎▶︎ たくさんの人とのつながりができたこと。
医師・薬剤師などの医療・ヘルスケア関連の方はもちろん、社内もいろんな部署の人との人脈ができました。何かあった時に相談しやすいです。また新人時代から苦楽を共にしてきた同期は、かけがえのない仲間です。
Q5:更年期をどう乗り切る?
▶︎▶︎ 自らのありのままを受け入れること。
体調や気分が不安定な時期を働きながら乗り越えるには、まずは自ら更年期のステージにいると認めること。そして自分の身体に起こっていることを知り、対処することが大事。私は頭から滝汗が出るタイプで、対面の現場で恥ずかしい思いをした経験もありますが、周りに理解者を増やすことで働きやすくなりました。
出典:「GLOW」2021年12月号
イラスト=Maiko Sembokuya 取材・文=土谷沙織