「買う」よりも「シェア」で
暮らしやすい時代に!
GLOW presents ライフスタイル マネー
[ 22.01.10 ]
あらゆる無駄を省いてエコにもつながる「シェア」。時代の流れを俯瞰で見つめ、シェアリングサービスにいち早く着目した村本理恵子さんにお話をうかがいました。
- ピーステックラボ代表
村本 理恵子さん
東京大学卒。2016年株式会社ピーステックラボを設立し、モノの貸し借りアプリ「アリススタイル」を開設。
日経WOMAN『ウーマン・オブ・ザ・イヤー2021』、『Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2021』企業部門第10位を受賞するなど活躍中。
シェアを通して「体験」が
平等に提供される社会へ
モノの貸し借りアプリ「アリススタイル」を提供しているピーステックラボは、創業以来ずっとシェアオフィスを活用中。シェアリングには利便性+αの価値があると代表の村本理恵子さんは語ります。まずは、ここ数年幅広い業種で展開されているシェアリングサービスの背景についてうかがいました。
「20世紀の“大量生産・大量消費”の時代を経て消費社会も成熟化し、ここ約20年間は経済の成長は横ばいです。相対的に日本人の所得が下がり、使えるお金の中で“買う”をすべての前提として生活を成り立たせると無理が出て楽しくないんですね。だから今はレンタルも日用品にまで広がっています。うまくシェアリングを利用することで、モノを所有せずとも豊かな体験ができるようになっている。シェアリングは、21世紀型の経済のあり方といえます」
さらにSDGs(2030年をひとつのゴールとする持続可能な開発目標)の考え方の普及も、シェアリング人気の理由。「買っては捨てるをくり返すことやモノにあふれた生活を続けることが本当に気持ちいいのか?と疑問を持ち始めた人が多いと思います。人生100年時代、ずっとモノを持ち続けることは重荷でもある。グロー世代は、親の世代を見ていて高齢になってからの持ち物の整理が大変だということを知っている方も多いのではないでしょうか」
理想とするミニマムなシニアライフを念頭に置きながら、今現在を楽しく快適に暮らすために、シェアリングサービスの利用はもはや当たり前のこと。
「昔は、長期の海外旅行に行くから大きなスーツケースを借りる、みたいなスポット貸しが主流でしたが、今はレンタルの役割も変わり、調理家電や美容機器、フィットネス器具など日常で使うものにシフトし、買う前にお試ししたい、という需要にも応えるものに。アイテム自体も、新しくていいものが借りられますしね。特に首都圏の限られた居住空間ではモノの置き場に困るのでそういった問題解決にも貢献します。ちなみに、今後アリススタイルは定額サービスを開始予定。今月はコレ、来月はアレといろんなものを使いたいというニーズにお応えします」
ご自身も挑戦をし続けながら時代の変化に柔軟に対応してきた村本さん。
「社会の変化、経済の変化は、よりよいライフスタイルを見つけるチャンスだと思います。シェアリングもどんどん暮らしに取り入れて、予想以上の楽しさを見つけてくださいね!」
- アリススタイル
美容機器、健康器具など、様ざまなカテゴリーの商品を検索してレンタルできるサービス。借りた商品が気に入れば、そのまま買い取りOKなものも。割安価格で使える半年コース、発売前の商品の体験キャンペーンなども充実。
(https://www.alice.style)
シェアすることがどんどん日常に!
地域コミュニティの中での“おすそ分け”のように、必要な人に必要なモノやサービスが行き渡ることがシェアリングの醍醐味。サービスを提供している企業も、マネタイズだけが目的ではなく、世の中をよりよくしようとする社会貢献のマインドを持っているところが多数。
日本国内のシェアリングエコノミーの規模市場
※シェアリングエコノミー協会と情報通信総合研究所の共同調査より
モノ
使っていないモノ、過剰に持っているモノなどを売り買い・貸し借りする。
例:フリマ、レンタル、古着店、自然エネルギー事業など
空間
民泊、部屋貸しなど、空きスペースを貸し借りする。
例:シェアオフィス、キャンプ場、貸し倉庫、パーキング、コインロッカーなど
お金
社会的な企画や物作り、アスリートを応援するためなどにお金を出し合う。またリターンを受け取る。
例:クラウドファンディング
スキル
スキルや労働力などを売り買いする。
例:クラウドソーシング、家事代行、デリバリー事業、ペットケア代行、シッターなど
移動
移動ツールの貸し借りや、共同での移動を実現する。
例:カーシェア、電動キックボードシェア、シェアサイクル、ライドシェアなど
出典:「GLOW」2022年1月号
取材・文=土谷沙織