女性同士・パートナーとも
メノポーズ悩みを共有できる社会を目指そう!<前編>
GLOW presents 更年期 マインド ヘルスケア 対談 ジェンダー
[ 22.06.27 ]
ひとりで抱え込んでいない?
これまでの女性たちはメノポーズ(=更年期)についてオープンに話さず、男性は触れてはいけないことと思ってきたけれど、これからはそんな時代じゃない!女性が抱える様ざまな困りごとを共有してみんながハッピーになるためにできることを、3人に語り合っていただきました。
- \GLOW世代 女性代表/
フリーアナウンサー 政井マヤさん
1976年生まれ。2000年フジテレビ入社。『スーパーニュース』『笑っていいとも!』など報道やバラエティ番組を担当。2007年に第1子出産のため産休に入り、退社。その後2児を出産、現在は3児の母。フリーランスとなってからはラジオパーソナリティ、コメンテーター、司会、モデレーターとして活躍。コロナ禍を機に湘南へ移住。夫は俳優の前川泰之さん。
- \GLOW世代 男性代表/
タレント つるの剛士さん
1975年生まれ。『ウルトラマンダイナ』のアスカ隊員役を熱演したのち2008年から音楽活動を開始。情報・バラエティ番組に出演するほかラジオパーソナリティや俳優として幅広く活躍。2008年ベネッセBirth Family Award、2009年ベスト・ファーザー イエローリボン賞を受賞。プライベートではこの春に短大を卒業して幼稚園教諭2種免許を取得。2004年生まれの長男を筆頭に2016年生まれの次男まで2男3女の父。
- \スーパーバイザー/
メノポーズカウンセラー 吉川千明さん
1959年生まれ。美容家、オーガニックスペシャリスト。web「大人の美容」主宰。コスメ、食、女性医療、漢方、植物療法、ファッション、インテリア、旅とヘルシーな女性のライフスタイルを提案。都内に自然療法を取り入れたスパとショップを展開。2000年に産婦人科医の対馬ルリ子さんと出会ったことをきっかけに女性の健康啓発に関わるように。2020年に上梓した『「閉経」のホントがわかる本』(集英社)がベストセラーに。
更年期の症状は人によって全然違います
- つるの
- 更年期についてはほぼ何も知らないんです。そういう年齢になった時に女性のホルモンが減ってきて、いろいろ弊害が出てくるということくらいしか。
- 吉川
- そうですよね。男性は知らなくてふつうだし、女性でも若い頃は知りませんから。ちょっと説明させてください。まず閉経のこと。閉経は完全に生理がなくなって1年経った時、最後にきた生理(月経)を閉経とみなします。で、閉経の前5年と後5年を足した10年を更年期としています。更年期がない女性はいません。閉経する平均年齢は51才です。
- つるの
- なるほど。
- 吉川
- 更年期には様ざまな不調が出ますが、細かいものまで入れると200〜300もあるといわれています。症状をほとんど感じない人もいれば仕事ができなくなるほど辛い人もいるし、期間もまちまち。30才で閉経する人も、60才で閉経する人もいます。それ以前に女性ホルモンは40代に入ると急激に減り、60才頃にはほぼゼロに近づきます。女性ホルモンは急な坂道を転げ落ちるように急激に減っていくので、女性ホルモンが支えていた体──頭のてっぺんからつま先まで全身!!──に影響が出てきます。自律神経や免疫、心の動きにも影響は及びます。
- 政井
- わかります。私は30代の後半から不調続きでした。疲れやすい、睡眠が浅くなる。めまいも。ずっと二日酔いの中にいるような感じで気分がしゃんとしなくて。どこかがすごく痛いとかはっきりしたものがあるわけではないんだけど、地味な不調がずーっとあって。ほんと、おばあちゃんになったような気分になっちゃって。体を動かすのも億劫だし。ちょっと動くとすぐに息が上がったりして。私はホットフラッシュが出なかったので、更年期だと気づくまでに時間がかかったんですけど。家族に「怠けてる」と思われているんじゃないかと不安に感じたり。
“自分から「更年期なの」と言うし、
夫とは更年期の情報をシェアしています”
(政井マヤさん)
- 吉川
- そう思っちゃうのね。だけど怠けてるわけじゃなくて今までにない辛さなんですよ。婦人科には行きました?
自覚できる不調の他にも、体の老化は進んでいます
- 政井
- はい。医師に疲れていることを一生懸命に訴えたら「女性ホルモン値を測ってみましょう」となって血液検査を。結果が出たら「まあ、おばあちゃんみたいなホルモン値」とケラケラ笑われて。その時38才だったのでびっくりしましたけど、私はそれで自分の不調の理由がわかったのでようやくほっとしました。それまで内科などで診てもらってもどこも悪くない。それが血液検査という数字で客観的にわかったのがうれしくて。
- 吉川
- 数値が下がっていてよかったというか。言い方が変ですけど症状がひどくてホルモン値を測っても、下がってないと帰されることもよくあるので。
- 政井
- そういうこともあるんですね。
- 吉川
- 38才は少し若いですけど、心身ともにハードに働いて体にも、卵巣にも負担だったのかもしれませんね。
- 政井
- その頃は仕事と育児で睡眠不足の日々でした。
- 吉川
- 少し早めの時期から更年期症状が出ることがあるので、私はプレ更年期からケアをしよう!といつも言っています。
- 政井
- 「更年期」という言葉を自分で受け止めるまでが大変だったりするので、プレ更年期という言葉がもっと浸透すると受け止められる人が増えると思います。
- 吉川
- 更年期ってめまいや汗だけじゃなくて、水面下で老化が進んでいるんですよ。骨の老化から骨粗鬆症へ進むし。50才前後で骨折する人、本当に多いですよ。
- 政井
- いいことがない……。
- 吉川
- でもね、更年期をちゃんと受け止めてケアをすれば、あとがいいの。寝たきりにならないためにもね。
- 政井
- へえー!
女性のメンタルが不安定になるのはホルモンのせい!!
- つるの
- 更年期ではないんですけど、僕の奥さんが妊娠した時にとても辛そうだったんですよ。「大丈夫?」って僕が家事とかやるんだけどよくならないし。どうしたらいいかわからなくて、僕の母親に相談したんです。男性の僕じゃわからないからちょっと話してくれって。そしたら母親も「わからない」と。で、考えて行き着いた結論が、奥さんが悪いわけでも僕が悪いわけでもない、すべてホルモンのせいだ!って。
- 政井
- 男性でその発想、すごい!
- 吉川
- これ正解、大正解!
- つるの
- そうした方が僕もラクだったんです。奥さんにもこれはホルモンのせいだよ。子どもを産んでくれるために体が一生懸命がんばってるんだよ。ホルモンのせいにしておこうって。
“女性がいっぱい話してくれると、
男性が会話に入りやすくなると思います”
(つるの剛士さん)
- 吉川
- ホルモンのせいというのは当たり前の事実ですけど、日本人が誰も知らないことが問題だと思うんですよ。マタニティブルーって更年期と一緒なんです。妊娠出産の時はいつもの百倍近くホルモンが出て出産に備えるんだけど、終わった瞬間にほぼゼロになるんですね。産後は髪が抜けたり、指が痛くなったりするじゃないですか。更年期に似てませんか?妊娠中にホルモンのせいだと知っていたら更年期のことも理解しやすいですよね。女性ホルモンって赤ちゃんの命を育てる力がある、ものすごいパワーのあるホルモンだから、なくなると想像をはるかに超えて辛いんです。
- つるの
- 僕も必死だったんです、奥さんが本当に大変そうだったから。
- 吉川
- 本当はふつうのことですよね、一緒に子どもを育てるんだから。世間ではイクメンが褒められたりしますけど……。
- つるの
- 僕、“イクメン”という言葉が大嫌いなんですよ。親が育児をするって当たり前のことじゃないですか。一応、流行語大賞の時に代表して授賞式に出席しているんですけど……(苦笑)。
- 政井
- 我が家は育児も家事もその時に出来る方がやるんですが、私の不調がひどくて彼の負担が増えてしまい、そのことで自分を責めてしまっていました。今思うと感謝しつつも明るく乗り越えられればよかったなと反省。
- 吉川
- みんなできない自分を責めちゃうんですよ。がんばりすぎるのはよくない。苦しい時は「助けて」と伝えないと。更年期ならいずれよくなりますから。
Column
GLOW読者に聞きました!
Q1 更年期の症状を感じていますか?
Q2 更年期の症状で気になるものは?(複数回答あり)
2位の「のぼせ・ほてり・発汗」以外は、本人にしかわからない症状。ここが更年期の話題がオープンにならない理由なのかも。せめて女子会や家族の間だけでも辛さを共有したり、こんな症状があると伝えたいところ。
GLOW 2021年10月号読者アンケートより
出典:「GLOW」2022年6月号
撮影=野呂知功