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一日一日が充実していれば、
自分らしい「あり方」はきっと見つかる

[ 19.09.09 ]

by GLOW

女優として、ファッションブランドディレクターとして、多面的にキャリアを築いてきた板谷由夏さん。演じること、創り出すことの喜びを連ねて、「普通に」歩む日々は、まさにAging Gracefully。美しさと優雅さ、その理想形に、今日も一歩ずつ近づいているのです。

往年の女優たちから
ファッションのヒントを得て

 カフェラテのような優しいブラウン。ミルクティーを思わせる温かなベージュ。抹茶ラテをイメージさせる柔らかなカーキ……。大人らしい佇まいを感じさせる、流行の〝ラテカラー〟のアイテムを次々と着こなす女優・板谷由夏さん。ドラマ、映画、舞台でさまざまな作品に出演しながら、4年前に立ち上げたファッションブランド「SINME」のディレクターも務め、充実した日々を送っている。

「服作りの参考になるのは、映画を観ることですね。とくに昔の外国映画を観て、登場する女優さんの着こなしにインスピレーションを受けることが多々あります。80年代のフランス映画をずっと観ていましたが、だんだん時代を遡って、最近は60年代くらいのものも。パンツのライン、丈の長さ、ボタンの位置、ネックラインの詰まり具合など、衣裳のディテールを観て、『あ、いいな』と思ったら一時停止して画面を写真に撮って、アップで確認してみたり。素敵なものって、今見てもちっとも古くない。やっぱり、永遠なんですよね」

優しげニュアンスカラーをデザインワンピで辛口に
「これ、可愛い!」板谷さんもひと目で気に入ったデザインワンピ。
ワンピース6万9000円(サヤカ デイヴィス/ショールーム セッション) ピアス5万8000円(コールムーン/ハルミ ショールーム) バッグ11万7000円、スニーカー8万5000円(ともにピエール アルディ/ピエール アルディ 東京)

大先輩の人生に、
自らの行き先を重ねる日々

 女優業では、放送中の連続ドラマ『やすらぎの刻〜道』が好評。海を見下ろす丘の上に立つ老人ホームで繰り広げられる悲喜こもごもの日常と、昭和初期を舞台にした劇中劇が同時進行する斬新なスタイルの物語で、板谷さんは、かつて一世を風靡した大スターたちが余生を送るホームのコンシェルジュに扮している。主演の石坂浩二さんをはじめ、浅丘ルリ子さん、加賀まりこさんと、大ベテランがずらりと顔を揃える現場だ。

「大先輩方に囲まれての撮影ですから、最初は緊張しましたね。皆さん、本番にかける集中力がすごいので、私も『絶対に間違えられない!』って。でも、それぞれの方のキャラクターが役に溶け込んでいて、実に自然なお芝居をなさるので、どこまでが役なのか、素なのか、それを見ているだけでもすごく面白い。それに、コンシェルジュという役柄のせいもあって、相手の方の呼吸に合わせて受け身のお芝居をするというのはとても新鮮な体験です。日々、学ばせていただくことがたくさんあるんですよ」

 40代に入り、場合によっては自身が年長の立場になることも増えた現在、「とても貴重な経験です」と板谷さん。先達と触れ合ううち、自然と、自身の今後にも思いをはせるようになったという。

「俳優というお仕事を今この瞬間まで続けていらっしゃることが、何よりまず、素晴らしいこと。『私が70代、80代になったとき、まだお芝居ができているんだろうか?』と、つい思ってしまいますね。もちろん、おばあちゃんになったらおばあちゃんの役がやってみたいし、できていたらいいなと思う。そうだとしたら、どんなお芝居ができるようになっているのか……って」

ラテ色のグラデーションでハンサムコーデを女っぽく
「ふつうなら細身のパンツを合わせるところ、あえてワイドなのが新鮮ですね」と板谷さん。
ロングベスト8万円(ローベリイテアンドシーオー/アイクエスト ショールーム) タンクトップ1万4000円(ミスク トウキョウ/ミスク) パンツ4万2000円(エズミ/リ デザイン) バッグ6万円(マージ シャーウッド/ユナイテッドアローズ 新宿店) ピアス2万9000円(トムウッド/ステディ スタディ) ショートチェーンネックレス2万5000円、プレートネックレス2万4000円、ロングチェーンネックレス2万6000円(すべてマリア ブラック/ショールーム セッション) シルバーネックレス3万8000円(ジジ/ホワイトオフィス) ラインリング16万円、プレートリング11万5000円(ともにシハラ/シハラ ラボ) ブーツ5万9000円(トーガ プルラ/ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 渋谷公園通り店)

必要なものが見えたら、
おしゃれはもっと楽しくなる

 演じる仕事に加え、これまで、テレビの報道番組のキャスターなど、ジャンルを超えた活動に挑んできた板谷さん。その意欲の根本には、「いかに普通であり続けるか」という、人として、大人としての信念が滲む。

「役を演じるという私たちの仕事にとっては、いかに普通に暮らすか……生活をして、経験を積んで、自分の中の引き出しをどう増やすかが重要。つまりは『どう生きるか』なんですよね。仕事云々より、まず、人としてどうあるか。普段の一日一日がきちんと充実していることがベストだと思うし、私もなるべくそうしていたいと思っていて」

普通に暮らす。その日々に寄り添う服作りを板谷さんが始めたのも、思えば、ごく自然なことなのかもしれない。そして、その先には、さらに多くの人の表情が見えている。

「大人の女性のおしゃれには、自分らしさがあればいいと思います。年齢を重ねていろんなものがそぎ落とされていけば、本当に必要なものも見えてくるし。そうしていけば、もっともっと着ることが楽しくなる、これから、そんな年代に入れるような気がするんです。私が作りたいのは、まず自分が『着たいな』と思う服。そして、着てくださった方が気持ちがよくなって、うれしくなって、試着室から出てきたときにニコニコしてくださるんじゃないかと思える服。実際にそういう瞬間を見るのは、すごくうれしいですね」

カフェラテ色で、シックに
サロペット4万8000円(ニート/ユナイテッドアローズ 原宿本店) ニット1万3000円(ユナイテッドアローズ/ユナイテッドアローズ 新宿店) ピアス2万6000円、[左手]バングル・大2万6000円、小 1万7000円(すべてリジー フォルトゥナート/エスケーパーズ) [右手]ブレスレット13万円、ラインリング16万円、プレートリング11万5000円(すべてシハラ/シハラ ラボ)

 

出典:「GLOW」2019年9月号
撮影=YUJI TAKEUCHI<BALLPARK> スタイリング=MIHOKO SAKAI ヘア=MATSU KAZ<3rd> メイク=AKIKO SAKAMOTO<3rd> 取材・文=大谷道子

板谷 由夏Yuka Itaya
1975年生まれ。99年、『avec mon mari』で女優デビュー。ドラマ『やすらぎの刻〜道』はテレビ朝日系列で、月曜〜金曜の12時30分から。11月1日には最新出演映画『マチネの終わりに』が公開される。
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