トップ / 雑誌カバー / いろんな気づきを得られるのが年齢を重ねる楽しみ。自分らしく“ポジティブ”に

いろんな気づきを得られるのが年齢を重ねる楽しみ。
自分らしく“ポジティブ”に

[ 22.01.03 ]

by GLOW

透明感のある美しさはそのままに聡明な大人の女性へと成長を遂げた女優・広末涼子さん。
女優として母として様ざまな経験によって育まれた自由な精神と豊かな包容力が、輝きをさらに魅力的に引き立てます。40代からが人生を楽しむ本番とばかりに、新たな気持ちで日々を楽しんでいるようです。

40代になって子育てに余裕ができて
自分と向き合えるようになった

20代の頃から国民的女優としてエンターテインメント界のトップを走り続け、老若男女を問わず人々を魅了してきた広末涼子さん。41歳になった今、持ち前の溌溂とした明るさに大人の豊かさと色香が加わって、女優としてはもちろん、一人の女性としても支持を集めている。

「ポジティブに年齢を重ねていこうと思っているので、年齢の示す数字にもそれほど興味がないし、この年齢だからこうしなきゃという先入観もありません。ですが、仕事ではこれからどう生きていくかについて取材を受けたり、パーソナルな部分を表現する機会が増えて、求められるものが変わってきたように感じています。もしかすると40代は仕事や子育てがひと区切りついたり、体や肌が変わってきたり、暮らし方を見直したり――。ひとつの節目のように思うので、誰かの体験に共感したり、思いを共有したいという気持ちが生まれるのかなと。

私自身も10代~20代前半は仕事優先にして走り抜け、20代後半~30代は家事育児と仕事の両立で充実感がありながらも時間に追われていました。40代になってようやく子育てにも余裕がでてきて、自分に目を向けられるようになりました。まだ走りだしたばかりですが、これから新しい楽しみを持つことができたり、今までとは違う視点が生まれて視野が広がるのかなと考えるとワクワクしますし期待感もあります」

趣味を持つのは贅沢なことではなく
日々を豊かにするために必要なこと

女優として第一線で活躍しながら、家では主婦として家を守り3人の子供と向き合う。彼女の日常の目まぐるしさは想像に難くない。そのなかで、自分のための時間を持つことは永遠に叶わない贅沢だと思えていたけれど、最近、その大切さにも改めて気づいたという。

「これまではママ友からフラワーアレンジメントや料理教室に誘われたりしても、趣味を楽しむなんて自分にはほど遠いことでドラマのなかのお話くらいに思っていました(笑)。でも、それは時間がなかったんじゃなくて気持ちに余裕がなかったんだなって。自分の時間を持つことを贅沢だとかもったいないと思わずに、その時間を作ることで心が豊かになったり、余裕が生まれたり、自分自身が軽やかになれる。それは家族にもいい影響を与えるので、実はすごく大切なことだなと立ち止まることができました。忙しいとどうしても、食事を作ったり、掃除したり、提出物を書いたり、物理的に意味のあることで日常を埋め尽くしてしまいがちで、気づいた時にはすごく疲れていたり、毎日を楽しめないような気持ちになってしまう。それはすべての行動に目的意識があって、すごく現実的になりすぎているせいだと思うんです。

意味のない空白の時間や、ただ楽しむためだけの時間があることが大切だと実感したので、今は自分の時間も大切にしようと思っています。2~3年前から陶芸を始めて、家では家族と一緒に絵を描いたり、アートワークを楽しんでいます。お母さんはいろんなことを同時進行してスイッチをたくさん切り替えないといけないけど、ひとつの事に没頭する時間があると他のことを考えなくてすむのでストレスの発散にもなります」

ロングベスト6万9300円(ザ・リラクス) ニット4万2900円(エイトン/エイトン青山) パンツ4万7300円(フィーニー) ピアス16万5000円(カスカ/カスカ 表参道本店)

『広末涼子でいこう』と決めてから
自然体でいられるようになった

そんなふうに楽しげに軽やかに語る広末さんの言葉は、とても真っすぐで経験に裏付けられた重みがある。憧れを誘う透明感のある美しい佇まいとも相まって、彼女自身の言葉をもっと聞きたい、読みたいと思う人が増えているのも腑に落ちる。そんな唯一無二の存在感を放つ彼女だが、自分自身を受け入れるには少し時間がかかったという。

「若い頃は大人になったら先輩の女優さんたちのように、穏やかで素敵で落ち着いた雰囲気になれると思っていたんです。だけど、全然そうはならなくて(笑)。20代の頃にはちょっと背伸びして、仕事もプライベートも素ではなくて女優らしく振る舞ってみようと思ったことがありました。けれど、すごく疲れちゃうし、自分でぷぷって笑っちゃうこともあるし、なにより言葉を選んで話すから言いたいことがうまく伝わらなかったんです。母親になってからもしっかりしているように見せなくちゃ、まわりのママたちに合わせなくちゃと言葉遣いや立ち居振る舞いに気をつけてみたものの、本質的な自分とは違うからしっくりこなくて。

結局、自然体でいることが一番居心地がいいし、まわりの人たちともスムーズにコミュニケーションができるとわかったんです。『私は他の誰かみたいにはなれない。広末涼子でいこう』と決めてからすごく楽になりました。自然体でいると“類は友を呼ぶ”で価値観や趣味の似た人が集まってきて、いろいろなことを人と共有しながら生きていけるんだなと実感できたのも大きかったですね」

また、どんな仕事もキャリアを積めば責任やプレッシャーが重くなるものだが、表舞台に立ち世間に評価され続ける女優業ならなおさらのこと。そんな重圧とも真摯に向き合い、成長するための糧にしている。

「年齢のためか、キャリアのせいかはわからないですが、若手とは違うんだから“できて当たり前”と思われる部分はあると思います。私には部下もいなし、誰かを育てるポジションでもないですが、そうしたまわりの気持ちをプレッシャーと捉えずに、同業者として後輩たちに背中を見せていく年齢になったんだなと受け止めています。仕事に手を抜けないのは若い時も今も一緒で、キャリアを積んだから失敗しないとは限らないし、緊張もするし、しんどいこともあります。だけど、ここまで長く続けてこられて、ずっと成長し続けたいと前を向けるのはやっぱり好きな仕事だから。一生ものの仕事に出会えたおかげだと思っています」


写真出典:「GLOW」2022年1月号
撮影=長山一樹〈S-14〉 スタイリング=井阪 恵〈dynamic〉 ヘア&メイク=岡野瑞恵〈storm〉 取材・文=安田晴美 

広末 涼子 Ryoko Hirosue
1980年7月18日生まれ、高知県出身。女優。1995 年にデビューし、ボーイッシュで爽やかな魅力で一世を風靡。2008年、出演映画『おくりびと』が第32回モントリオール映画祭でグランプリ、第81回アカデミー賞で外国語映画賞を獲得し、自身もヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。近作に連続ドラマ『桜の塔』(2021年テレビ朝日)ほか、知的エンターテインメント番組『シャキーン! ・ヒロスデママ』(NHK Eテレ)に出演中。映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』は2022年1月14日公開。プライベートでは3児の母。
  • SHARE
  • facebookでシェアする
  • Line It

pagetop