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「大人も欲張りでいていいんだよ」って
素敵な先輩たちが作ってくれた轍を辿っていく

[ 22.04.04 ]

by GLOW

女優としての確かな存在感に加え、気さくな人柄と素敵な佇まいで、20代の頃から憧れの女性像として支持を集めてきた菅野美穂さん。
30代後半で結婚・出産を経験し、現在は2児の子育て中。仕事と両立する多忙ななかでも、いつも変わらず、明るくポジティブな雰囲気を纏(まと)っています。そのパワーの源とは。

年齢を重ねるほど
気持ちが楽になっていく

出会った人の心まで解(ほぐ)れてしまいそうな、親しみやすくてあたたかな笑顔がまぶしい菅野美穂さん。
6歳と3歳の2人の子育て真っただ中で「全く余裕がない」と苦笑いするけれど、その姿が想像できないほど、瑞々しくたおやかな美しさにあふれている。

「現場に入ると自然に感覚が戻りますね。仕事に向かう車に乗った時に『ふぅ~』ってようやく息を吸える感じで、出かける前は呼吸を止めて子供の支度をしてたのかなって(笑)。今は、仕事がご褒美の時間のような気がします。忙しいと自分と向き合うことも忘れてしまうので、取材で話を聞いていただくことでこう思っていたんだなと確認できる。言語化することがセラピーになっているのかもしれませんね。子供はどんどん成長するのでこれからが楽しみでもあり、いつか手を離れてしまうことが寂しくもあります。だけど、子育てが終わった後も人生は続いていくので、長い目で自分なりに仕事を続けていきたいと思っています」

母親として初めて経験することばかりで、日々、戸惑ったり、迷ったり。意外な自分の一面に気づいてハッとしたり、苦手なスキルと向き合わなくてはいけないことも。

「出産前には、子育てをすると幸せな気持ちになれるんだろうなというイメージしかなくて、現実的な大変さを全然知らなかったんです。自分は本来こんなに怒る人間だったのかと驚くくらい、怒ってますよ(笑)。もともと感じたことをそのまま表現する性格なので、言い控えることや“言わぬが花”という感覚が足りないところがあって。自分自身のことはそれでよくても、親としては言い含めたり、余白を残しておくのが必要な場合もあります。しかも、苦手だからといって一時停止も後回しにもできないので、今やらなくてはと頑張って向き合っています。仕事ではいい意味で力を抜けるのに、育児では悪い意味で真面目になってしまう。思いが空回りしてしまうこともあって、子育てはトライ アンド エラーの連続だなって感じています」

先輩たちが作ってくれた道を
欲張りに辿っていきたい

目の前のことに奮闘しながら、気づけば40代も半ば。
体力の衰えなど、年齢を感じることが増えてきた一方で、気持ちの面では生きやすくなっていると明かす。

「年齢を重ねて図太くなってきたんでしょうね。若い頃は礼儀正しくしていないと恥ずかしいとか、言葉使いは丁寧じゃないとみっともないとか、“こうあらねば”という気持ちが強かったですが、今は楽しく撮影するとか、人の意見を聞くとか大切なことは守りながら、あまり神経質になりすぎずに大雑把でいいんじゃないかと。それに、小泉今日子さんやYOUさんが表紙を飾った30代向けの『インレッド』や40代向けの『グロー』など、大人のためのファッション雑誌が創刊されたことで、“もっと欲張りになっていいんだよ”っていう道を素敵な先輩方が作ってくださいました。私はその轍(わだち)を辿らせてもらえるので、生きやすくしてもらえたと世代だと思っています」

ファッションへの関心が高く、好きな着こなしを心の赴くままに楽しんできたけれど、子供を通したお付き合いを優先して個性や遊び心は封印中。
安心感のあるネイビーの服を着ることが多いそうだが、それでも時折、心の中に“おしゃれ欲”が湧き上がってくるという。

「自由に個性を表現している夏木マリさんに憧れます。大胆なヘアスタイルや遊びのある服を凛と着こなす姿が本当にかっこいい。普段はネイビーのなかに封印されている、暴れん坊の自分が反応してしまいますね(笑)。大人になればいつか赤い口紅が似合うようになると思っていたんですけど、40代になっても全然似合わないんです。考えてみれば、素敵な大人に自然になれるわけはなく、そうなりたいと意識して自分でなっていかないと叶わないんだなって改めて気づきました。好きな服がくれる高揚感は魅力的ではありますが、一方で、ネイビーの服には集団の中に溶け込む整然とした美しさや、身だしなみで尊敬を示せるというよさがあります。ここを一度通ってしまった自分が、ネイビーから呪縛が解けた時にどんな服を着たいと思うのか、楽しみでもあります」

カーディガン11万円、Tシャツ2万8600円(ともにフォルテ フォルテ/コロネット) イヤーカフ2万3100円、ネックレス〈上から〉島モチーフ2万5300円、イニシャル3万6300円、シルバー2万900円、リング〈薬指〉2万3100円、〈小指〉2万6400円(すべてマリア ブラック/ショールーム セッション)

長年続けたヨガで緩むことや
友人と過ごすひと時が癒しになる

目まぐるしい日常を送る彼女にとっては、日々の積み重ねの先に将来があり、今日を頑張ることが明るい未来に繋がっていく。
そのために大切にしたいと考えているのが、長年続けてきたヨガと友人たちとのたわいもないおしゃべり。

「将来への不安もありますが、先を心配しすぎて子供の成長を見逃すのはもったいないなって。ただ、生きることは死に近づいていくことだから、人生100年時代を楽しく過ごすためにも、心と体を健康に保って死ぬ直前まで元気でありたいと思います。ヨガは26歳から始めたのですが、一般的な運動と違って体への負荷も大きくないですし、年をとっても無理なくできるので一生続けていきたい。日常生活では使わない筋肉を動かすので凝りが解れますし、ポーズに集中したり、緩む時間を持つことで頭がすっきりしてリフレッシュできます。それから、コロナ禍で人との交流が減って、友人たちとお茶する時間のありがたみを痛感しました。たわいもない話をするだけでも癒しになっていたんだなと。不自由になったから気づけたことですし、これからも一緒に年齢を重ねていく人たちとの絆を大切にしていきたいです」


写真出典:「GLOW」2022年4月号
撮影=YUJI TAKEUCHI〈BALLPARK〉 スタイリング=青木千加子 ヘア&メイク=岡野瑞恵〈storm〉 取材・文=安田晴美

菅野 美穂 Miho Kanno
1977年8月22日生まれ、埼玉県出身。女優。1992年に芸能界デビュー。1995年NHK連続テレビ小説『走らんか!』の準主役を務め、1996年連続ドラマ『イグアナの娘』(テレビ朝日)で初主演。演技力を高く評価され、以後、数々の話題作に出演。近年の出演作に主演ドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』(2021年/日本テレビ)、主演映画『明日の食卓』(2021年/KADOKAWA、WOWOW)など。プライベートでは2013年に結婚、現在2児の母。
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