Aging Gracefully フレンズカフェ 第1部〈前編〉
松本千登世さん「老け印象は斜め45度から」
目のまわりの影と、ほうれい線の影
Special Project report ヘルスケア ビューティー 学び ハウツー
[ 24.03.27 ]
Aging Gracefully(以下、AG)プロジェクトは、40代、50代のAG世代の女性たちを応援するために、企業向けの勉強会や一般の方向けの催しなど、さまざまな活動を展開しています。
2月17日には、「Aging Gracefullyフレンズカフェ」をライブ配信しました。第1部はAGフレンズで美容エディター・ライターの松本千登世さんをゲストにお迎えし、「大人美容を、楽しく」をテーマにお話ししていただきました。司会は朝日新聞社Aging Gracefullyプロジェクト編集長の坂本真子が務めました。
「私が6、7年前に気づかされたことがあります。資生堂のカリスマ研究員の方にお話をうかがったとき、『斜め45度顔から老け印象がやってくる』というちょっと衝撃的な言葉があったんです。正面から見る顔と、斜め45度から見る顔では、実は10歳ぐらい見た目の印象に差があります、というお話でした」
「正面を向いている顔は、自分が鏡などで普段から見て意識している顔だとしたら、ふとした瞬間、無意識のときに斜めから撮られた写真を見て、『これ、私じゃない』と思ったことはありませんか。こうした差があることを知った上で、斜め45度から見た顔を意識したケアを、今日は提案したいと思います」
確かに、斜め45度から自分の顔を見ることはありませんが、周りの人からは見えています。そんな「斜め45度顔」の老け印象を防ぐために、どんなことに気をつければいいのでしょうか。
松本さんは三つのポイントを挙げました。第1のポイントが「顔の上半身~目まわりの影」で、第2のポイントは「顔の下半身~ほうれい線という影」、そして第3のポイントが「顔と首の境界線~メリハリのなさ」。前編では、このうち2点について紹介します。
範囲を広げてケアしよう
第1のポイントは「顔の上半身~目まわりの影」です。
「私は最近、上まぶたのたるみがひどくなったと自分で思っているんですが、みなさんも、目のまわりのしわが深くなったとか、今日はクマがひどいとか、気になるポイントがいろいろあると思います。一方で、他人からは『しわがあるから老けて見える』のではなく、むしろ『目のまわりがどんよりしていて、疲れているのかな』と見られることが多いように思うんですね。しわもたるみもくすみもクマも全部ひっくるめた『影』の印象が、老け見えにつながってくると考えています」
全部ひっくるめた「影」は、どうすれば改善できるのでしょうか。
「しわをケアする、たるみをケアすることはとても大事です。ただ、各ポイントをケアするのではなく、アイケアの範囲をゴーグルゾーンまで、いわゆる、ゴーグルをかける辺りまで広げてみましょう。たるみは顔の一部だけで起きるのではありません。顔全体がたるんでくるので、ちょっと範囲を広げてケアをすることによって、目のまわりも引き締まってきます」
「目のまわりを指で押したら硬かった、という経験はないですか。例えば、老眼で見づらくて無意識のうちに厳しい表情をしていたり、眉間(みけん)にしわを寄せてしまったり。私は上まぶたのたるみが気になるので、無意識のうちに額と眉で上まぶたをグッと上げるんですね。そうすると額も眉も凝るし、眉を触ると結構硬くて、指で押すと痛いので、私はいつも眉の辺りをもむようにしています。もっというと、額や眉だけでなく頭も凝りますし、そのまま下がっていくと首も肩も凝っているよ、ということになります。その辺りも全てが目のまわりの影につながっているので、全体をほぐしてあげるといいと思います」
育毛のためには頭皮をマッサージして頭の凝りをほぐすといいと言われますが、頭も首も肩も、全てが顔につながっていると、松本さんは説明します。女性誌で撮影をする際も、モデルさんの頭皮をマッサージしてやわらかくすると、目元が生き生きしてくるそうです。
「頭や目の周りをほぐすことによって、表情が自由になったり、顔の動きが自由になったりするので、特に年齢を重ねていくと大事になると思っています」
一方、「影」を生かす方が良いこともあります。
「生え際の髪が薄くなったり、頭と顔の境目の輪郭が白髪であいまいに見えたりするときは、例えば、少し色の濃いパウダーファンデーションを生え際にささっと入れて、埋めてあげてください。生え際の白い肌が影になることで、輪郭にコントラストができて引き締まって見えます」
老けのポイントか、笑顔の証しか
第2のポイントは「顔の下半身~ほうれい線という影」です。
「私が鏡を見るたびに、どうにかならないかな、と思うのが、ほうれい線です。ただ、若い人にもほうれい線はあります。ここで大事なのは、ほうれい線があるかないかではなく、年齢による老けのポイントと見るか、笑顔の証しと見るか、その違いです」
「縦にギューッとほうれい線が入ると老けて見えるし、不機嫌に見えますよね。でも、口角を上げることで、ほうれい線の向き、角度が少し上を向きます。ほうれい線は深いしわ、長いしわのことだと思いがちですが、実はほおがたるんで下がるので、ほうれい線も下がって深い影になるんです。それを防ぐためには、普段から表情筋を動かして笑うことをおすすめします」
松本さんの友人はある日、自宅のキッチンで料理をしながら夫と話をしていたら、突然、「なんで今日は不機嫌なの?」と聞かれたそうです。
「彼女自身はゴキゲンに料理をしていたので、どうしてそんなことを言われたのだろうと考えたら、口角が下がってほうれい線が目立っていたからだと気づいたと、教えてくれました」
松本さん自身も以前、美容家から「松本さんは右だけで(食べ物を)かんでいるでしょう」と言われたことがあります。「なぜわかるんですか」と尋ねると、「左だけが下がっていて、左のほうれい線が濃いから」と指摘されたとか。
「きちんと食べ物をかむことも顔の筋トレの一つです。それを意識して、食事の際は左右対称に、均等にかむことも大事なんですね」
口角を上げる、左右対称にかむことのほかに、ほうれい線を目立たなくするためにできることはあるのでしょうか。
「私も教えてもらった方法が一つあります。口の中で、ほうれい線の部分を内側から舌でアイロンをかけるようになぞるんです。やってみると、結構痛いんですよ。舌の筋肉も使って、内側から意識することで表情筋にも効きますし、毎日少しずつ内側からリセットしてあげるつもりでやるといいのではないでしょうか」
◆第1部の動画をアーカイブ配信しています。
- 松本 千登世(まつもと ちとせ)さん
- 美容エディター・ライター。航空会社勤務、広告代理店勤務、出版社勤務を経てフリーランスに。雑誌や単行本などで美容や人物インタビューを中心に活動。著書に『「ファンデーション」より「口紅」を先に塗ると誰でも美人になれる 「いい加減」美容のすすめ』(講談社)、『いつも綺麗、じゃなくていい。50歳からの美人の「空気」のまといかた』(PHP研究所)、「顔は言葉でできている!」(講談社)など。女性誌『美的GRAND』(小学館)で「このコスメが、すごい!」、同『eclat』(集英社)で「大人美が目覚めるとき」を連載中。2024年3月に絵本「ピンクのカラス」を出版。
- ◆松本千登世さんが絵本「ピンクのカラス」を出版しました。
詳細は「BOOK 212」公式サイト https://book212.com/
AGフレンズの記事バックナンバーです。
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- ◆Aging Gracefully フレンズカフェ「美容とお金のポイントは?」
2024年2月17日(土)14:00~15:50
Zoomウェビナーでライブ配信 - ◇第1部「大人美容を、楽しく」
松本千登世さん(美容エディター・ライター、AGフレンズ) - ◇第2部「物価上昇に負けない! 今こそ始めるAG世代のためのマネーセミナー ~新NISA活用法~」
村田貴子さん(ファイナンシャルプランナー、ほけんの窓口グループ株式会社教育部担当部長、AGフレンズ) - 司会:坂本真子(朝日新聞社Aging Gracefullyプロジェクトリーダー/編集長)
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