陣内貴美子さんと考える、足の健康や食生活
Aging Gracefullyフォーラムをオンラインで初開催
Special Project report ヘルスケア 更年期 グルメ 学び ハウツー
[ 20.11.09 ]
Aging Gracefullyプロジェクトは、40代、50代のミドルエイジ世代の女性たちに向けた様々なイベントや勉強会を、パートナー企業などとともに開催しています。
今年は10月18日の「世界メノポーズ(更年期)デー」に合わせて、女性が自らの健康に目を向けること、社会全体で更年期へのリテラシーを高めていくことを目的に、オンラインフォーラムを企画。ゲストに元バドミントン五輪選手でニュースキャスターの陣内貴美子さんをお迎えし、足の健康や食生活について、様々なお話をうかがいました。
フォーラムは9月中旬に収録。その模様を10月18日から20日に、プロジェクトの公式YouTubeチャンネルで事前申し込みをしていただいた約730名に先行配信し、11月から こちら で一般公開しました。当日の様子をお伝えします。
|第一部|
「人生100年時代の幸せは足のケアから」
第一部では、人生100年時代に向けてアクティブに年齢を重ねていくために欠かせない「足」の健康について、陣内さんと、東京都世田谷区にある足の総合病院「下北沢病院」理事長の久道勝也先生が対談しました。
久道先生は、5年前にこの病院を開業。足に関するあらゆる悩みをワンストップで診療してもらえることが評判を呼び、遠方からも多くの患者さんが訪れています。
足は皮膚や骨、血管に神経と様々なパーツから構成され、不調を感じた際も、皮膚や爪なら皮膚科、骨なら整形外科と、専門の診療科を受診しなくてはなりません。
アメリカに留学して、足を一つの臓器として専門にみる「足病医」の存在を知った久道先生。自身の専門は皮膚科ですが、留学先の恩師から、歩行機能と高齢者のQOL(Quality of Life=生活の質)には深い関係があると教えられたことをきっかけに、「高齢化が進む日本にこそ必要な診療だ」と考えるに至り、帰国して開業を決意されたそうです。
陣内さんはキャスターという仕事柄、ハイヒールを履くことが多いとのこと。足の緊張を和らげるため、ふだんから足の指を動かす、アキレス腱(けん)を伸ばす、運動靴でよく歩くことなどを心がけているそうです。今回はせっかくの機会ということで、久道先生に足のコンディションを診ていただくことになりました。
まずは、座った状態で関節の可動域をチェック。「非常に軟らかいですね」との診断で、血流やたこ、魚の目といった皮膚の異常も見つかりませんでした。次に立った状態で外反母趾(ぼし)や親指の柔軟性、扁平(へんぺい)足の有無などを確認。その結果、「陣内さんは軽度の外反母趾があるだけで、かなり健康な足といえます」と、久道先生から太鼓判が。少し心配そうにしていた陣内さんは笑顔になりました。
「ハイヒールと運動靴をしっかり使い分けていらっしゃるのがさすがです」と久道先生。実は、足も野球選手の肩と同様、「消耗品」と考えるべきとのこと。「足の寿命は、何もケアしなければ50年といわれています」。そのため、足にも上手にオンとオフをつくることが大事との指摘に、陣内さんは大きくうなずいていました。
また、陣内さんが日々心がけている足回りのストレッチも、AG世代には非常に有効な健康法だということです。久道先生は「更年期に女性ホルモンのエストロゲンが減ってくると、靭帯(じんたい)や腱が緩み、骨の変形にも影響を及ぼします。筋肉も硬くなってくるのでストレッチが大事です。また、皮膚の保湿力も落ちるため、乾燥や炎症にも注意が必要です」
陣内さんのように外反母趾がある方には、医療用のインソール(中敷き)を処方しているそうです。もちろん、適切な靴を選ぶことが大前提ですが、久道先生によると、「選び方の基本」があまり理解されていないのだとか。「多くの方は、楽な靴が自分に合う靴だと思われていますが、決してそうではありません。つま先部分に1.5センチのゆとりがあり、甲や踵(かかと)をしっかりホールドできているといった点に十分留意し、正しく靴を選んでいただきたいです」
久道先生は「歩くことは、社会とつながるためのファーストステップ。基本的なストレッチと筋トレ、靴の選択と履き方の重要さを多くの方に知っていただきたいと思います」というメッセージで、第一部を締めくくりました。
|第二部|
「AG世代が知っておきたいカラダの変化、とりたい栄養素とは?」
第二部では陣内さんが、料理家、栄養士で、趣味は筋トレという牛尾理恵さん、大塚製薬で「女性の健康推進プロジェクト」のプロジェクトリーダーを務める薬剤師の西山和枝さんと共に、「AG世代が知っておきたいカラダの変化、とりたい栄養素とは?」をテーマに話し合いました。
最初に、更年期を含む女性の健康についての啓発活動に取り組む西山さんから、AG世代特有の不調について解説がありました。更年期症状は、一般的に知られる「ほてり」や「のぼせ」だけではなく、手指の関節の変形や気分の落ち込みなど、多岐にわたるそうです。
更年期とは、閉経の平均年齢である50歳の前後5年の10年間を指します。この間、「ジェットコースターのごとく」急激に女性ホルモンが減少することに体が対応できず、様々な症状が生じます。「女性ホルモンという『守り神』がいなくなり、不調が生じやすくなるこの時期をどのように過ごすかが、AG世代のこれからの健康のカギになります」と、西山さんは語りました。
規則正しい生活、バランスの取れた食事、適度な運動が健康の基本であることはもちろんですが、AG世代には、エクオールという成分を含むサプリメントも有効であるとアドバイスしました。
エクオールは、女性ホルモンに似た作用を持つ成分だそうです。大豆製品を食べると、腸内で大豆イソフラボンがエクオールに変換されるのですが、西山さんは「エクオールに変換できる腸内細菌を持つ女性は、日本人のAG世代では2人に1人しかいないといわれています」と、衝撃の事実を明らかにしました。
その腸内細菌の有無は、簡単なキットで調べられるとのことで、今回、牛尾さんと陣内さんにも、事前に調べてきていただきました。レベルは5段階あり、5は「腸内で細菌がとてもよく活動している」、1は「ほとんど活動していない」です。牛尾さんはレベル4の「十分に活動している」、陣内さんはレベル2の「とても少ないか、あまり活動していない」という結果でした。陣内さんは心配そうな表情でしたが、西山さんから「食生活や腸内環境に気をつければ改善する可能性もありますし、サプリメントでエクオールをとる選択肢もあります」とアドバイスを受けると、陣内さんは「間に合わせます!」と力強く言いました。
大豆・豆腐を使った、かんたん洋風アレンジメニュー
続いては料理家の牛尾さんから、AG世代の食生活に欠かせない、大豆イソフラボンが多く含まれるメニューを教えていただきました。「塩豆腐」をアレンジした「塩豆腐とキュウリのサンドイッチ」と「ガスパチョ」、蒸し大豆を活用した「スパイス大豆」の3品を、陣内さんと一緒につくりました。
塩豆腐は、豆腐に塩をして水抜きします。豆腐1丁(200g)に小さじ1杯の塩をふってキッチンペーパーで包み、冷蔵庫で一晩置くだけでできます。ボウルに入れた塩豆腐にオリーブオイルを加え、フォークで混ぜた陣内さんは「カッテージチーズみたい!」と、驚きの表情。
具材のキュウリは、縦に切って種をスプーンでかき出すことで、食感の良さをいかします。薄切りにして塩もみし、よく絞るのがポイント。マスタードを塗ったライ麦パンに塩豆腐とキュウリをはさむと、あっという間にサンドイッチが完成しました。
「塩をしておくだけで、水分や大豆臭さが抜け、炒め物などにも使いやすくなります。ふつうは日持ちしない食材ですが、塩で保存性が高まり、3日くらいは使えますよ」と牛尾さん。野菜のポタージュを作る時にも塩豆腐を入れてミキサーなどで混ぜると、なめらかさが出るそうです。
ガスパチョは、細かく切ったキュウリと紫タマネギ、ピーマンに、オリーブオイル、塩コショウ、すり下ろしニンニクを混ぜ、スプーンで一口大にすくった塩豆腐を加え、トマトジュースを注ぐだけという手軽さ。こちらも驚くほどスピーディーにできあがりました。「スープというより、食べるおかずという感じですね」と牛尾さん。
3品目は、市販の蒸し大豆とクルミを使ったおつまみです。フライパンにオリーブオイルを入れ、抗酸化作用があるといわれるクミンシードを香りが出るまで炒めたら、蒸し大豆とクルミを加えます。味付けは塩コショウとパプリカパウダーで。「クミンシードがなければ、カレー粉でも大丈夫です」と牛尾さん。エスニックな香りが食欲をそそる、これまた手軽な一品です。
最後は試食タイム。「女性が元気になるような食材ばかりで、本当においしい」と陣内さん。
西山さんからも「スパイス大豆はビールのおつまみにしたいです」と大好評でした。
フットケアの方法や豆腐、大豆を使った簡単メニューなど、AG世代が日々の生活に取り入れていけるようなヒントが盛りだくさんのフォーラムは、にぎやかな笑顔と共に終了しました。
本フォーラムをご試聴いただき、オンラインアンケートにお答えいただいた方の中から抽選で10名様に、1000円分のQUOカードをプレゼントさせていただきます。締め切りは11月30日です。当選発表は、賞品の発送をもって代えさせていただきます。ふるってご応募ください! アンケートはこちらから。
文=草刈康代 写真=伊ケ崎忍