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AGカフェVol.16
お灸でセルフメンテナンスしよう!
Project report レクリエーション ヘルスケア 学び ハウツー
[ 22.11.09 ]
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AG世代の「学びとネットワーキングの場」として定期的に行っているAGカフェ。16回目の10月8日は「わたしメンテナンス~お灸編~」と題して、福岡市博多区のせんねん灸ショールーム博多で開催しました。
2年半以上続くコロナ禍のストレスや、年齢による体調の変化などをすっきりさせようと企画したもので、午前の部と午後の部、計42名の方にご参加いただきました。また、会場では、消毒や換気など新型コロナの感染予防対策を施して行いました。
講師は、せんねん灸セルフケアサポーターで鍼灸師の伊賀壮枝(なりえ)さん。20代で妊娠した際の体の不調が鍼(はり)で改善したことがきっかけで鍼灸の道へ進み、40代の妊活や高齢出産の経験から、現在は女性のライフステージに寄り添ったケアを行っているそうです。
伊賀さんはまず、「お灸の素材は何でしょう?」と質問しました。
参加者の一人が「よもぎ」と答えると、「正解です!」と伊賀さん。
説明する鍼灸師の伊賀壮枝さん
「よもぎ」はもともと、西洋ではハーブ、東洋では薬草として使われてきました。乾燥させたよもぎを砕いて葉や茎を取り除く作業を繰り返すと、綿毛だけが残ります。その量は全体の200分の1という、大変貴重なものです。この綿毛だけを集めたものが「もぐさ」で、お灸の原料になります。
お灸はツボに据えます。ツボは、私たちの体をめぐるエネルギーの通路である「経絡(けいらく)」の上にあり、体の変化を示すポイントです。
伊賀さんは、ストレスチェックのツボについて簡単に紹介しました。頭頂部の「百会(ひゃくえ)」、眉毛のスタートラインにある「攅竹(さんちく)」、あごのフェイスラインにある「頬車(きょうしゃ)」、鎖骨の真ん中にある「欠盆(けつぼん)」、胸のトップのラインで体の中心にある「膻中(だんちゅう)」、手のひらの真ん中で、手を握ると薬指があたる部分にある「労宮(ろうきゅう)」の計6カ所で、優しく指で押すと、「痛気持ちいい」と感じる場所です。ここには今回、お灸は据えません。
次に、お灸に安全に火をつける方法を説明しました。お灸の台座の裏のシールをはがして指にのせ、もぐさ部分にライターで着火します。ライターは火を真っすぐ上に向けて持ったまま、お灸を横から近づけると火をつけやすくなります。そして、火のついたお灸の台座部分を横から持ってツボにのせます。
ライターの火を真っすぐ上に向けて持ったまま、お灸を横から近づけて火をつけます
この日は、AG世代が知っておきたい三つのツボを取り上げました。
手の甲にある 「合谷(ごうこく)」、くるぶしの上の 「三陰交(さんいんこう)」、足の甲にある「太衝(たいしょう)」です。
ツボを探すコツは、肌を優しく押すことだそうです。
「手の指を肌に沿わせて、ちょっと押したときに『痛気持ちいい』と感じる場所、または、触ってみて少しへこんでいるところや、色が少し変わっているところがツボです」と伊賀さん。
そして、お灸には温熱のレベル、煙の有無、香りの違いなど、さまざまなタイプがあることを紹介し、「初めての方は、温熱レベルの低いもの、熱すぎないものを使ってください。熱いから効果がある、ということではありません」と説明しました。
続いて、お灸に挑戦しました。
最初のツボは「合谷」。手の甲側の親指と人さし指の間にあるくぼみです。火をつけたお灸を「合谷」のツボにのせると、徐々に温まります。
手の甲にある「合谷」
熱く感じたり、肌がちりちり、ちくちくしてきたりしたら、すぐに外しましょう。
台座が冷えたら、横から持ってひねると外しやすいです。外したお灸は、水を張ったコップなどに入れ、火を完全に消してから捨てます。
「ツボは体の左右対称にあるので、できれば両方に据えてください。ただし、たくさん据えるとどこが熱いかわからなくなるので、初めのうちは、一度に据えるのは1個にしましょう」と伊賀さん。
2カ所目のツボは、「三陰交」。例えば左足の内くるぶしに右手の小指を当てると、人さし指の位置にあります。「女性のツボ」とも呼ばれています。
内くるぶしの上にある「三陰交」
伊賀さんは「熱いと感じたら、据えた時間が短くても必ず外してください。やけどをする恐れがあるので、皮膚の薄いところは特に注意して、我慢しないでください。ただ、体が冷えていると、なかなか熱く感じられないことがあります。また、体の左右両方のツボにお灸を据えても、片方だけ熱く感じないこともあります。そのときの体調によって感じ方が異なります」と説明しました。
お灸は斜めの状態で火をつけると早く燃えやすくなるので、できるだけ水平な状態で据えましょう。
3カ所目のツボは、足の甲にある「太衝」です。足の親指と人さし指の骨が交差するところの手前の、へこんだ場所です。
「規定の時間で熱さを感じられないときは、同じツボに連続で3回まで据えても大丈夫です。それでも熱さを感じないときは、次の日に同じツボでまた試してみてください。低めの温熱レベルのお灸から始めて、1週間は様子を見てください」と伊賀さん。
部屋の温度や、緊張しているか、リラックスしているかによっても、熱さの感じ方は変わるそうです。
足の甲にある「太衝」
最後に、よくある質問について、伊賀さんが説明しました。
まず、お灸には避けるべき時間帯があるそうです。「食事の後や、入浴の前後1時間ほど、及び、発熱時や飲酒時など体温が上がっているときは、お灸は避けてください」
また、その日の天候や体調によって、水泡が生じることがあります。熱いと感じたら絶対に無理をせず、外しましょう。
「おなかなど、肌の弱い部分は十分注意してください。汗をかいたりぬれたりしている部分にお灸を据えるとやけどをする可能性があるので、必ず水分を拭き取ってください。また、乳幼児など、自分の意思でお灸を取り外せない方には据えないでください。顔や粘膜、湿疹やかぶれ、傷口、急性外傷患部などにも使わないでください」と、伊賀さんが注意を呼びかけました。
そして、「お灸は毎日、継続することが大切です。まずは3カ月を目安に続けてみてください」と話しました。
午前の部を終えて
午前の部は10時半、午後の部は14時半から、それぞれ約1時間。どちらも和気あいあいと、あっという間に時間が過ぎました。午前の部は半数近くが経験者でしたが、午後はほとんどが初心者でした。参加者たちはメモを取りながら熱心に聴いていました。
午後の部を終えて
参加者アンケートでは、「お灸は難しいと思っていたが、気軽に生活に取り入れられるものが多いことがわかった」「今まで自己流でやっていたので、火のつけ方やツボの探し方を教えてもらえて良かった」「毎日続けることが大事だとわかった」といった感想が寄せられました。
ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
取材・文=朝日新聞社 Aging Gracefullyプロジェクトリーダー 坂本真子
写真=朝日新聞社 井上雄一郎、坂本真子
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