AG女子のテキトー美容『叱られ塾』
肌を細胞レベルで解析、衝撃の「20点」
Special ビューティー メイク ハウツー 学び
[ 23.09.27 ]
イラスト=Kamikawa/イラスト協力=日本工学院専門学校 クリエイターズカレッジ マンガ・アニメーション科
肌や髪のケア、化粧など、みなさんはどんなことに気をつけていますか?
40代、50代は、体にさまざまな変化が訪れます。美容も、若い頃と同じやり方では保てないことも増えてきます。
これまで美容全般に無頓着だったAging Gracefullyプロジェクトの坂本も、ふとしたことがきっかけで危機感を抱きました。専門家に「叱られ」ながら、少しずつ学んでいきます。
コロナ禍で外出の機会が減って、おしゃれや化粧の手を抜いた経験はありませんか。私はたまたま洗顔料を切らしたとき、「家にいるだけだし……」と泡のハンドソープで顔を洗ったことがきっかけで常態化。それまではずっと洗顔料を使っていましたし、洗浄力が強いと顔にはよくないだろうと思っていたんです。でも、いつもすぐに化粧水をつけていたからか、特に乾燥が気になったこともなく、軽やかな泡のハンドソープなら大丈夫かな、と都合よく解釈していました。
今年の夏、美容エディターでAGフレンズの松本千登世さんにそんな話をしたところ、松本さんは目を大きく見開いて、「ええーっ」と絶句。「ハンドソープは手のためのもの。顔の肌がかわいそう……」と優しく、そして厳しく叱られてしまったのでした。
肌の仕組みを学ぼう
やっぱり良くなかったのね、と思いつつ、ハンドソープで洗い続けてしまった顔の肌は今どんな状態で、何をどう直していけばいいのかな、と疑問がわきました。そこで思い出したのが、花王の「エスト スキンアスリートジム」。担当者に相談し、このサービスの一つで、細胞レベルで肌の状態を解析する「スキンポテンシャルアナリシス」を体験させていただきました。
まず、「事前問診」として、今の肌の悩みと、日ごろの運動習慣についての簡単なアンケートに回答。その後、「スキンモニタリングキット」が届きました。皮脂と角層を採取するためのものです。
「スキンモニタリングキット」の中身は=花王提供
皮脂の採取は朝起きてすぐ、洗顔前に行います。説明書の指示に従ってフェースラインなどを皮脂採取シートでこすって皮脂を採ります。次に、洗顔料を使って洗顔した後、ほおに角層採取テープを貼って静かにはがします。この皮脂採取シートと角層採取テープを指定の場所に返送。解析には2週間ほどかかりました。
8月末、解析の結果を聞くために、東京・銀座の「BEAUTY BASE by Kao 銀座店」を訪問。スキンポテンシャルアナリストの信岡明日美さんが迎えてくれました。
肌は、大きく分けると表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています。皮下組織で生まれた皮膚が肌の表面に出るまではおよそ28日。これを「ターンオーバー周期」と呼び、周期が遅くなるとメラニンが停滞してシミなどの原因になることもあります。
紫外線ダメージや乾燥、運動習慣、睡眠の質、食事内容なども肌に日々反映されるそうで、私の生活習慣についても細かく質問されました。
結果を説明する、スキンポテンシャルアナリストの信岡明日美さん=花王提供
「理想的なエイジングを重ねるために大切なことが二つあると考えています」と信岡さん。「美の再生力と美を届ける力です。美の再生力は、基底層で生まれた細胞が毎日一層ずつ押し上げられるターンオーバーの機能。美を届ける力は、栄養、酸素、水分をしっかりと運んで老廃物を流し去る真皮の血流機能を指します。この二つを乱さず、循環力を高めていくことが大切です」
今回の「スキンポテンシャルアナリシス」は、そんな肌を細胞レベルで解析するというものです。
「皮脂に含まれるRNA(※1)を見る『RNAモニタリング』、そして、採取した角層に赤外線を照射して表れるスペクトル(※2)から分子レベルの情報を取得して、角層本来の機能を予測解析する『コルネオスペクトル解析』。この二つの技術から、AIを駆使して肌の状態を導き出します」
採取の様子と解析の技術=花王提供
ちなみに花王は2019年、皮脂中に人間のRNAが存在することを発見しました。https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2019/20190604-001/
とても繊細な技術を用いて肌の状態を解析すると、どんなことがわかるのでしょうか。
※1 RNA(リボ核酸)は、DNA(デオキシリボ核酸)情報をもとに作られる物質。環境などで日々変動し、そのときどきで体に必要なたんぱく質を作るように指示する役割を担っています。体質や体の部位によって種類や量が異なるのもRNAの特徴です。
※2 スペクトル〈Spectrum〉は、光の各波長で得られる信号(波形)のこと。これを解析すると、その物質に含まれる成分の情報が得られます。
「99点」に喜んでいたら
いよいよ肌の解析結果を発表! 肌の表面に関する6項目、肌の内部要因5項目、体内の要因1項目の計12項目で、同年代のデータをもとに点数化され、最高100点、平均50点だそうです。
恐る恐る資料を見ると、「99点」の文字が。
「美を届ける力、血流調節機能は99点で素晴らしいです。下支えとなる血管機能はとても高い状態です」と信岡さん。私は思わず心の中でガッツポーズしました。
「肌の糖化レベル」と「角質細胞の質」も高めの点数です。
「肌の糖化が進むとくすみやシワ、シミ、たるみなどの原因の一つになります。食事が糖質ばかりにならないよう、野菜や肉、魚を一緒に食べてください。食事でたんぱく質を摂取することが大切です」
牛乳を毎朝飲み、肉や豆腐を毎日食べていることが幸いしたのでしょうか。
「スキンポテンシャルアナリシス」による私の肌の解析結果
一方、資料の左下には20点台が。「トータルの酸化レベル」20点、「肌の酸化レベル」24点と、二つも赤点をもらったようでショックを受けました。
「紫外線を浴びてダメージを受けると、肌から多くの活性酸素が出ます。坂本さんはその影響で肌の抗酸化力が少し低下しているので、じわじわと内側から酸化が進みやすい状態にあります。これには睡眠や食事、ストレスレベルが関わっています。ストレスレベルが高いときほど抗酸化物質を摂取してください。そして、紫外線ダメージを受けにくい肌にするには、しっかり保湿することも大切です」
もう一つ、「肌のバリア機能」も21点……!?
「それに加えて『肌の水分量』は37点で、『セラミドの質』が31点。潤い機能が低下しているために角層が硬くなり、紫外線ダメージが内側に入りやすくなっているイメージです。 原因の一つは潤いの流出です」
もしかして、ハンドソープで洗顔していることに関係があるのでしょうか?
「潤い成分の高い洗顔料を使うのがベストです。洗顔料は皮脂や古くなった角質などを落としやすい設計になっているのに対して、ハンドソープは汚れや菌をターゲットにしています。使用する場面や使い心地なども目的に合わせて作られているので、顔用に考えられているものがおすすめですね。洗顔料を変えるだけで潤いの流出を止められて、肌の柔らかさも変わってくると思います」
さらに、と信岡さんは付け加えました。
「水温は、体温より低めをおすすめしますが、冷たいと洗浄料の機能が発揮されにくい場合もあるので、適温は『ぬるま水』ぐらいです。シャワーの水圧、摩擦も良くないので、手のひらで軽く洗い流してください」
髪や体を洗うついでに顔をシャワーで洗い流す……。私を含め、何となくやってしまう人が多そうです。避けた方がいいことは初めて知りました。
このほか、「角層重層化レベル」は日々のターンオーバーの状態、「紫外線ダメージの受けやすさ」は紫外線を浴びると肌に起きる反応、「紫外線ダメージレベル」は紫外線を浴びたときにどれだけ素早く抗酸化が行われるかを、それぞれ点数化したものです。私はいずれも50点前後で、「日中はしっかりとUVカット乳液をつけて保湿してください」と、信岡さんからアドバイスされました。
「スキンポテンシャルアナリシス」でわかる12項目は=花王提供
「むらなく均一に隅々まで」
続いて、「エスト ビューティ エキスパート」の佐藤洋子さんによる、専門家の監修に基づいた食事と運動の提案や、スキンケアのレッスンへ。
メイクをいったん落としてから、美容液などのつけ方を教わりました。化粧水は手のひらと指を使って優しく、しっかり押さえるように。乳液や美容液は適量を額、鼻、あごなど5カ所に乗せてから顔全体に広げます。目尻や小鼻といったくぼみにも丁寧になじませます。
「むらなく均一に、強すぎない力で滑らせるように、顔の隅々までくまなくつけてください。美しい肌を保つお手入れのポイントは、潤い、酸化・糖化ケア、紫外線カットの三つになります」と、佐藤さんは話しました。
肌のタイプに合わせて「おすすめの栄養素・食材」の説明も。私の場合は潤いや抗酸化がカギで、ビタミンB群が豊富な枝豆、ビタミンB1や鉄、亜鉛を含むゴマを勧められました。また、ストレッチ、筋トレ、有酸素運動の動画も紹介されました。
アドバイスをする、「エスト ビューティ エキスパート」の佐藤洋子さん=花王提供
「AG女子のテキトー美容『叱られ塾』」初回は、まさかの「20点」で幕を開けました。衝撃的でした。
でも、振り返ると若い頃は日焼け止めを塗らずに外を歩いたこともあり、ダイビングにハマって海に通った時期もありました。そもそも美容への関心が薄く、これまでやってきたのは最小限のお手入れのみ。最近はハンドソープで洗顔をしていたわけで、出るべくして出た結果とも言えます。
今回改めて、肌に保湿は欠かせないことを理解しました。そして紫外線対策の大切さも。肌の表面だけでなく、肌内部の酸化や糖化を防ぐことが必要で、食事も睡眠も運動もストレスも、生活の全てが肌の状態につながっているんですね。できることから生活を変えていかないと。反省しています。
- 坂本 真子(さかもと まさこ)
朝日新聞記者として主にポピュラー音楽を取材。新聞紙面と朝日新聞デジタルの編集者も長く務め、人事部では社員研修や学生向けのインターンシップを担当。2021年12月からAging Gracefullyプロジェクトリーダー/編集長。
子どもの頃から合唱曲やロックを歌い、今は音楽と埼玉西武ライオンズを愛するAG世代。
イベント出演時はヘアメイクさんに整えてもらいますが、普段は「テキトー美容」で過ごしてきました。
取材&文=朝日新聞社 Aging Gracefully プロジェクトリーダー/編集長 坂本真子
イラスト=Kamikawa
イラスト協力=日本工学院専門学校 クリエイターズカレッジ マンガ・アニメーション科
写真=花王提供
監修=AGフレンズ 松本千登世さん
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◆花王「エスト スキンアスリートジム」の詳細はこちら。新規入会(有料)を先着順で追加受け付けしています(2023年10月20日まで)。
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Aging Gracefullyプロジェクト事務局:agproject@asahi.com