AG座談会 vol.1〈前編〉
不眠、イライラ、尿もれ……更年期の壁
Special ヘルスケア 学び ライフスタイル キャリア 更年期 対談
[ 23.11.22 ]
40代と50代、Aging Gracefully(=AG)世代の女性たちは、更年期世代でもあります。ただ、心や体にさまざまな不調を抱えていても、誰にも相談できずに過ごすことが少なくありません。昨年、SNSで非公式に募集したAG世代の女性十数人が更年期の悩みについて語り合ったことがありました。今回も同じように呼びかけたところ、50代前半の女性6人が集まりました。そのリアルな声を前・後編に分けて紹介します。
参加者(いずれも50代前半)
Aさん :会社員「仕事の効率が下がってきました。職場に同年代の女性はいません」
Bさん :会社員「コロナ禍に更年期を自覚しました。手の指がヘバーデン結節に(※)」
Cさん :会社員「この数年で体力の低下を実感。気持ちも落ち込みがちです」
Dさん :会社員「40代前半に閉経。50歳近くまで常にイライラしていました」
Eさん :病院勤務「コロナ禍のストレスで退職。最近、非常勤で復職しました」
Fさん :自営業「48歳から52歳まで『どん底』の4年間を過ごしました」
――ここ数年、生活や体調で変化を感じたことはありますか?
- B
- 眠れなくなりました。昔は寝つきがよかったのに、今は夜中に必ず一度は目が覚めて、その後は眠れません。本を読む元気もなく、ただボーッとしています。
- A
- 私も2年ぐらい前から眠れなくなりました。婦人科に行って診察を受けたら「ホルモン値は正常だからホルモン補充療法をできない」と言われて、心療内科に行ったら睡眠導入剤を処方されました。でも、そのおかげで劇的に眠れるようになりました。
- F
- 私も不眠に悩まされていろいろ試しました。最も確実に効果があったのは、朝から太陽の光を浴びること。今は毎朝ベランダに出て深呼吸しています。メラトニン(入眠作用のあるホルモン)が出るのは日光を浴びてから半日ぐらい後。早い時間の散歩がベターと言われています。
- D
- 私は30代後半からイライラすることが増えて、当時は夫のせいだと思っていました。家庭内別居をして10年になります。体は動くのにメンタルが落ちて。更年期だと気づいていたら、40代をもっと楽しく過ごせたのにと、今は思います。50歳近くになってから、夫にあまり腹が立たなくなりました。たまに車を出してもらうぐらいの距離感がいいのかも。
- E
- 39歳で二人目を出産して、子育てと仕事で忙しくて、40代後半はイライラすることが増えました。イライラの度合いもどんどん強くなって、職場が一番のストレスだったので退職しました。
- A
- 私も閉経前はしょっちゅうイライラして、PMSか更年期か、何が原因かわからなくて悩みました。
- F
- 仕事のアポをまるっと忘れたときはショックでした。毎朝、新聞を読むのが20年以上の習慣だったのに、頭に入らなくなって、頭にもやがかかったみたいで。過剰なストレスが原因の脳疲労と診断されて、脳を休ませるしかなく、良い睡眠が大切だと医師に言われました。あと、急にトイレに行きたくなる、切迫性の尿もれもあって。
- A
- 長時間の会議の前は、どうしようかと真剣に悩みます。前にコンビニで尿もれ用のシートを探したら、生理用ナプキンしか売っていなくて困ったんですよね。
- E
- 尿もれは落ち込みますよね。私は羽根付きの生理用ナプキンを使っています。
- F
- ホルモン補充療法をしたら、尿もれはぴたっと止まったんですけど、一方でイライラが悪化して、自分で感情をコントロールできなくなって。夫の鍋の洗い方が気に入らなくて、鍋を投げたこともありました。
病院、どう探せば
――イライラなどの症状について、医師の診察は受けましたか?
- F
- 48歳の頃、一日おきにマッサージに行かないと立っていられなくなったんです。でも、婦人科の医師には「生理があるなら大丈夫。更年期なんて早い」と気楽に言われて。私も更年期について何も知らなかったので、仕事のストレスと老化だろうと考えていたら、次に眠れなくなりました。心療内科で睡眠導入剤や抗うつ剤を処方してもらうと、今度は肌が荒れて水ぶくれができて皮膚科へ。その後でホルモン補充療法を始めたんですけど、以前よりもっとイライラするようになったんですね。それなのに30代の女性医師から「気のせい」と言われて、病院からの帰り道に泣いたこともあります。あるセミナーで「ホルモン補充療法は精神症状に効かないことがある」と聞いて、あきらめがつきました。結局、4年間に15件近い病院を回りました。
- A
- 医師に「気のせい」と言われると、自分がおかしいのかと思って、つらくなりますよね。私は、「ホルモン値が正常だからホルモン補充療法をできない」と言われて以来、婦人科を信用できなくて。どうやって病院を探すのか、戸惑ってしまうし、新しい病院に行く気力もないし。
- B
- 私は病院で漢方薬を処方されたけど、効果がなかったんです。その後、脳疲労と診断されたときは、心が救われました。
- C
- 病院にはまだ行っていません。どうやって選べばいいのかがわからなくて……。
- E
- 病院の正しい情報が少ないんですよね。近所にあれば楽だけど、どう探せばいいのかがわからない。ちゃんと話せる医師がいればいいのに。
- D
- 私は子宮がん検診で引っかかって婦人科に行きました。それまでは面倒で、病院には全然行かなかったんです。更年期だろうと思いつつ、定期的に通うのはしんどくて。
- F
- 更年期の症状で病院に行くという方は、まだまだ少ないみたいですね。「私はサプリを飲んでいるから大丈夫」とか、「認めたら更年期になる」と抵抗感を示す人がいます。そういうことではなくて、まずは検査を受けてみて、メンテナンスできることはした方がいいのでは、と思います。
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