植村美智子の『AGおしゃれコンシェルジュ』
チュニック選び、三つのポイント
Special ファッション 学び ハウツー
[ 24.02.14 ]
年齢を重ねた大人の女性に根強く人気の、お尻が隠れる「チュニック丈」のトップス。気になる腰回りを覆い、安心感を与えてくれる、心強い味方です。
ですが、安易に着てしまうと、印象をもたつかせ、おしゃれに見えにくくする危険なアイテムとなってしまいます。そう、みなさん既にそのことにお気づきですよね。
でも、決して「チュニック丈のアイテムを着てはいけない!」ということではありません。ちゃんと選べば大丈夫です。
おすすめしたいのは、体形をカバーしつつ、いまどきのおしゃれな雰囲気をまとわせてくれる、ゆったりサイズのロングシャツ。ゆったりしているとはいえ、やはりシャツ。印象がゆるくなりすぎず、大人の女性に似合いやすい、カジュアルなスタイルを作ることができます。
「頑張っている」「気合が入っている」と思われてしまうことを、一番避けたい大人のおしゃれ。肩の力の抜けた余裕のあるスタイルを作りたいですが、適度に締めておかないと印象がもたついてしまうのです。
スッキリ、バランスよく、素敵にロングシャツを着こなすコツは、アイテムの選び方にあります。私が思うアイテム選びのポイントは、三つです。
1 小さな襟のものを選ぶ
大きな襟も格好良くていいのですが、顔の近くにくる襟の主張が強いと、望んでいない迫力が出てしまうことがあります。バンドカラー(※)や小襟のシャツなど、襟が優しく存在しているタイプを選ぶことで、力感のない、おしゃれな雰囲気を作ることができます。
2 裾に向かって広がっていないシルエットのものを選ぶ
裾に向かって真っすぐ落ちるストレートシルエットや、丸みを帯びて落ちるコクーンシルエットのものを意識して選んでみてください。そうすることで適度にキリッと雰囲気が締まり、大人の女性に似合いやすいスタイルを作ることができます。パンツともスカートとも相性が良く、バランスよく合わせることができるのもうれしいポイントです。
ギャザーの入ったフワッと広がるタイプや、裾に向かって広がっていくAラインのタイプも、雰囲気があって良いのですが、そのタイプのシャツが持つフェミニンさやエレガントさが、大人の肌質や表情とあまり相性が良くないと感じることが多々あります。違和感が生まれたり、印象が強くなりすぎたりしてしまうことがある上に、合わせることができるボトムスも限られてしまうので、少し難しいアイテムとなりそうです。
3 裾に動きのあるものを選ぶ
サイドにスリットが入っていたり、着丈に前後差があったり、カットがラウンドになっていたり、裾に動きのあるタイプを選ぶことで、ボトムスとのつながり部分が直線ではなくなり、着こなしやすくなります。
例えば、明るい水色のロングシャツに黒のパンツを合わせた、コントラストがしっかり効いたレイヤードも、色の切り替え部分が直線ではなくなることで、なじみ良くつながり、おしゃれな雰囲気のある、納得のいくスタイルに仕上がります。
そして、チュニック丈を好む方に、着丈をさらに長くした、シャツワンピースもおすすめしておきます。選び方のポイントはロングシャツと同じ。
ワンピースの裾からパンツやスカートをのぞかせるスタイルは、一度知ってしまうと、頼りにせずにはいられない着こなしです。ワンピースというアイテムが得意な、お出かけ感のあるスタイルを作ってくれつつ、全身をふんわり包んで体形カバーもかなえてくれる、大人の女性にこそおすすめしたいスタイルです。
まだしばらく寒い日が続きますが、お店には、軽やかな素材の春のアイテムが並んでいます。明るくきれいな色柄のものを選び、暖かい季節に向かって気分を高めていくのもいいですよね。
いつも素敵に服を着こなして、ファッションを楽しみたい――。そんな40代と50代、Aging Gracefully(=AG)世代に、スタイリストで個人向けのコーディネートサービスも行う植村美智子さんがワンポイントアドバイス。かわいいイラストとともに紹介するコラムです。
- 植村 美智子(うえむら みちこ)
スタイリスト。大阪府吹田市出身。文化服装学院アパレルデザイン科を卒業。stylist吉野みゆき氏に師事し、1996年に独立。雑誌、広告、タレントのスタイリングなどで幅広く活躍。個人の方向けのファッションコーディネートサービス「Liltin'(リルティン)」を展開。
公式サイト https://liltin.com/
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