骨格が決める、本当に似合う服
AERA presents ファッション
[ 19.11.25 ]
「何を着たらいいかわからない」にこたえる
年を重ねると特に、“似合う服がわからない”という女性は多い。
でも、骨格診断で「タイプ」を知れば、自分にぴったりの着こなしができる。
- 骨格・カラー診断PLUS技能士
山崎真理子さん
「似合うファッションスタイル」を追求するため、客観的指標、骨格診断を習得。東京・南青山のサロンで個人向けファッションコンサルを展開。著書に『あなただけの「似合う服」に出会うための骨格診断』。
40歳を超えた頃から、何だか服選びに不安が付きまとうようになった。30代前半のころに着ていた服をクローゼットから引っ張りだしても、違和感が拭えない。この違和感の正体は柄?それとも形?
そんな“似合う服がわからない問題”に対する救いの一手として、いま「骨格診断」が人気だ。訪れたのは、東京・南青山にある「COLOR & STYLE 1116」。代表の山崎真理子さんは「骨格診断PLUS」という独自のメソッドを生み出し、年間300人もの体と向き合ってきた。山崎さんのもとを訪れる女性でもっとも多いのは、38歳前後と40代後半。山崎さんは言う。
「38歳は、出産などを経験し、一時的にファッションから離れていて、いまどんな服が似合うのか、流行はどうなっているのかがわからず、浦島太郎状態になる年齢。40代後半は、ご本人はまだ若いと思っていても、身内や周囲から『若作りしている』と言われたとおっしゃる方も多い。まさに“迷い”の年齢なんです」
違和感のない好印象
職場での立場上、きちんとした服装をしなければ、と口にするのも40代後半の特徴だという。そんな、多くの人がすがる「骨格診断」とはなにか。骨格診断はなぜファッションと結びつくのか。
「たとえば電車に乗ると『あの人、素敵!』など、瞬間的に思いますよね。なぜそう思うのか。もともと美人だから、スタイルがいいから、ということもないわけではないのですが、私たちは無意識のうちに『調和』というものに反応しているんです」(山崎さん)
たとえば、身体のラインが直線的で筋肉質の女性が薄味のワンピースを着ていたら、何だか物足りない。逆に、身体の凹凸が少ない人が大味のジャケットを着ていたら、違和感が生じる。この感覚は、多くの人が持つものだという。
「その人のイメージは、内面に関係なく“テイスト”からできあがる。ならば、客観的な視点を持ち、テイストに合った着こなしを考えてもいいのではないか。『違和感のない好印象をつくろう』というのが、骨格診断の基本的な考え方です」(同)
質感とラインが大事
人間のテイストに大きく作用するのは、「質感」と「ライン」だと、山崎さんは言う。
「生まれ持った骨格から質感を導いて、質感からラインを導く。それが結果的にその人のテイストになるんです」
骨格の診断結果はおもに3タイプに分かれる。
一つ目は、「ストレート」。肉感があり、メリハリがある立体的なラインが特徴だという。二つ目は「ウェーブ」。全体的に華奢なイメージで、脂肪が柔らかく、全体的に緩やかな曲線を描く。三つ目は「ナチュラル」。骨がゴツゴツしていて、肉感的なものをあまり感じさせないのが特徴だ。
年齢を重ねると、「体形が変わった」「重力に逆らえない」と口にしてしまいがちだが、山崎さんによると骨格のタイプは20歳から70歳くらいまで、ほとんど変わることはないという。自分がどのタイプに当てはまるのかは、自分で正確に判断するのは難しい、と山崎さん。一つの判断基準は「手」だという。
たとえば、赤ちゃんの手のようなプニプニの手をしている人は「ストレート」であることが多い。白魚のような指、と評されるスッと長い指の持ち主は「ウェーブ」。指の節が太く、指輪が付け根までなかなか入らないという人は「ナチュラル」の傾向が強いという。
あなたの骨格どのタイプ? 合う服装は?
謎が解明され清々しい
では、それぞれのタイプに合うスタイリングはどのようなものなのか。山崎さんはこんな例を挙げながら、解説してくれた。
「たとえば、河原でゴツゴツした石を拾ったら、新聞紙に包んで持って帰ろう、と思いますよね。逆に小さくて美しい貝殻を拾ったらガラス瓶に入れて持って帰ろうとする。それと同じで質感と素材で調和を取ることが大事なんです」
|ストレート|
生まれ持った体のメリハリ生かして!
筋肉にハリのある「ストレート」なら、同じようにハリのある、シワ加工のない素材が最も調和が取れる。たとえばシルクやカシミヤ。体つきそのものにメリハリがあるので、それを生かすようなラインが望ましい。
|ウェーブ|
甘くて柔らかな装いが◎ 小さな柄も似合う
柔らかい印象の「ウェーブ」なら、シフォンなど繊細で柔らかい素材で。ラインも、なだらかな体形に沿うものがいい。
|ナチュラル|
素材も形も自由な感じが自然に馴染む
骨組みがしっかりした「ナチュラル」は、シワ加工のある麻や、ざっくりと編んだニットも無理なく馴染む。一部だけ丈が長いなど、個性を前面に出したラインとも相性がいいという。
山崎さんに骨格を見てもらった。まず、肩や腰など、体の各部位の骨を触る。次に、素材を首の下にあて質感を見る。出た答えは、「ウェーブ寄りのナチュラル」。なるほど、普段からきちんとしたシャツが似合わない、という実感はあったが、その謎が解明された気がして、清々しい気持ちになる。
客観的な指標を理解
際に骨格診断を受けた女性たちからは、2パターンの声が聞かれると山崎さん。
「ある程度、自分がどのタイプかわかっていたけれど、後ろ盾がほしかった、という女性もいれば、『ウェーブ』が好きだったけれど、『ナチュラル』と診断されて一瞬たじろぐ方もいらっしゃる。でも、後者の方からは、少し時間が経ってから『まわりに褒められた』とお礼のメールをもらうこともあるんです」
山崎さんが口にしていた、こんな言葉が忘れられない。
「40代後半の女性が古臭くて似合わないものを着ていると、『発言もなんだか古そうだな』と思われてしまう」
だからこそ、「骨格」という客観的な指標を理解したうえで、本当に似合う服を日々アップデートしていくことが大事なのだ。