Aging Gracefullyセミナー<前編>
40代、50代の「自分らしく生きる」に役立つ講演やトークショーを開催
Project report 学び トラベル ヘルスケア スポーツ ビューティー マインド 更年期
[ 19.12.26 ]
人生100年といわれる現代。2020年には日本の女性の2人に1人が50歳以上になると言われています。「Aging Gracefullyプロジェクト」は、40代から50代にかけての女性たちが人生の後半を充実させていくためのヒントや、現在直面している様々な課題について一緒に考えていくとともに、次世代を勇気づけていきたいという思いから、宝島社の月刊誌「GLOW」と朝日新聞社が立ち上げたプロジェクトです。
パートナー企業とともに、様々な情報発信やイベントを展開し、11月10日にはAging Gracefully(AG)世代のための健康や美容、マネー、ヘアケアをテーマとした 「Aging Gracefullyセミナー」を渋谷ヒカリエホールB(東京)で開催。のべ約200人が参加しました。その模様を、前・後編の2回に分けてお伝えします。
−第1部 前半−
ゆるっと優雅な自分時間の過ごし方
オープニングトークには、GLOWの大平洋子編集長と、朝日新聞社Aging Gracefullyプロジェクトリーダーの前田育穂さんが登壇。プロジェクトの発足経緯や取り組みを紹介しました
その後は、ゲストのご紹介へ。映画「運命じゃない人」「ノルウェイの森」出演女優として活躍するほか、女性誌でモデルも務める霧島れいかさんが登壇。「ゆるっと優雅な自分時間の過ごし方」というテーマで、大平さん、前田さんとオフの時間の楽しみ方を語り合いました。
旅行が趣味で、年に数回は旅を楽しんでいるという霧島さん。旅先で撮った写真をインスタグラム(http://www.instagram.com/reika_kirishima/)にアップし、多くのフォロワーから大好評とのこと。会場でも、イタリアのアッシジの路上やバチカンのサン・ピエトロ大聖堂付近、タイのバンコクにあるワット・パクナム、日本では伊勢神宮、箱根などで、三脚とタイマーを駆使して撮った写真を紹介しました。うまくとるコツは、「なりきること」だといいます。一見取り澄ましているようでも、実はユーモアの要素がちりばめられていて、「写真を通じて、皆さんにおかしみを提供したい」のだそうです。
旅行の楽しみの一つは宿。霧島さんはその宿選びにも一工夫しているそうです。「最近はホテルに泊まらずに長期滞在ができる宿をAirbnbで探しています」。せっかくの海外滞在なので、できるだけ土地になじんで暮らすように過ごしたい。そんな風に考えて、自分で食材を用意して料理したり、洗濯をしたりする。その経験ひとつひとつが、その土地を深く知ることにつながっていくといいます。とはいえ、海外初心者にとっては、英語で宿のオーナーとやり取りをするのはハードルが高いという不安の声もあるかもしれません。でも、そこは心配ご無用とのこと。「実は私も英語が苦手。日本語を話せるオーナーさん限定で検索しているんです」とこっそり教えてくれました。
「それでも、いつかは現地の人とコミュニケーションできるようになることが理想です」。霧島さんは、これまで旅先で出会った人にうまく自分の思いを伝えることができず、何度も悔しい経験をしたそう。そこで、一念発起。「英会話の勉強を始めました」。勉強方法は、「ゆるっと優雅に」の霧島さん流。「空いた時間にカフェで1時間くらい個人レッスンを受けています」。次に行ってみたい場所は、アメリカのセドナかエジプトのピラミッドとのこと。語学力がアップしてからの海外旅行は、きっとさらに充実したものになるのではないでしょうか。
女優やモデルとして多忙な日々を送っている霧島さんは、どのように自由な時間を確保しているのでしょうか。伺ってみると、「自分の時間は自分で作るしかない」ときっぱりとした答えが返ってきました。「私たちAG世代は、自分のためよりも家族のため、会社のために頑張ってしまいがちですよね。自分のために時間を使うことが罪だと思って、遠慮してしまう人が多いように感じます」と指摘。その上で、「多少、周囲に迷惑をかけたとしても、充電したらまた頑張ればいいのだから、休みをとる勇気を持ってほしいです」と同世代の来場者にエールを送りました。
実は、「いつかは留学もしてみたい」と密かに考え中だという霧島さん。AG世代がこれからも充実した人生を歩んでいくためには、「やりたいことを諦めないことがとても大事。いろいろな夢を持ち続けるためにも、好奇心を大切にしてください」という力強いメッセージで、第1部前半を締めくくりました。
−第1部 後半−
AG 世代の女性の健康と美を考える
第1部後半では、女性の健康に詳しい大塚製薬の女性の健康推進プロジェクトリーダーの西山和枝さんをお迎えして、「AG世代のからだの変化」について霧島さんと共にお話を伺いました。
長年、社内外で更年期に関する啓発活動に取り組まれてきた西山さんは、女性ホルモンが減ることによるAG世代特有の症状について解説しました。月経異常やほてり・のぼせ、手のしびれ、うつ・イライラなどの精神症状、不眠、尿漏れなどの泌尿生殖器症状……。更年期には200〜300種類もの症状があることを示すと、会場からは驚きの声があがりました。
そして、これらの症状が治まった後に気をつけたいのが骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や動脈硬化などの生活習慣病です。「こうした症状が起こる原因の一つには、女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少に、体が対応できないことがあります」と西山さん。一般的に、50歳前後5年の約10年間を更年期と言いますが、西山さんは、更年期に急速に減っていく女性ホルモンをグラフで示し、60歳以降に骨粗鬆症の発生頻度が急激に上がることを説明しました。
「女性ホルモンは、私たちの守り神のような存在です。守り神がいなくなってしまうと、女性は様々な症状に悩まされることになります」と西山さん。かつて、平均寿命が50歳前後だった頃は、守り神がいるうちに人生の終わりを迎えていましたが、人生100年時代になった今は、守り神がいなくなってから50年近くも生きるという、ある意味で大変な時代になっているともいえそうです。
さらに西山さんはスライドで、35歳の女性の顔と55歳の女性の顔をイラスト比較。「年齢による顔のたるみの大きな要因の一つに、顔の骨量の減少がある」という衝撃的な話をしました。「AG世代の皆さんは、顔のたるみが気になるお年頃ですが、実は頬骨やあごの骨の減少が、たるみに大きく関わっています」。腰椎の骨は60代くらいから減るのに対し、顔の骨は一足早く40代から減り始めるといいます。
では、どうすれば骨量の減少を抑えることができるのでしょうか。「一度減ってしまった骨を大幅に増やすのは残念ながら大変難しいのですが、今からやれることはたくさんあります」と西山さんは言います。
まずは、運動。「骨に負荷をかけるウォーキングや、かかと落としなどはおすすめです」。すると、霧島さんが「私は最近、体形が丸みをおびてきたことが気になり、キックボクシングを始めたんです」と打ち明けました。「それはすばらしいです。骨や筋肉を鍛えることは、健康寿命を延ばす上で効果的です」と西山さん。さらに、「運動の際に日光浴を伴うと、体内にビタミンDが生成され、カルシウムの吸収を助けて骨にとっても良いので、一石二鳥ですよ」とアドバイスもしました。
次に大事なのは、「食事と規則正しい生活です」と西山さん。「特に骨や筋肉、髪や肌のことを考えると、たんぱく質をきちんと摂りたいですね」。さらに、女性ホルモンに似た作用のあるサプリメントを補充することで、更年期症状への対策ができるとも語りました。その一つが「エクオール」という成分を含むサプリメント。エクオールは、女性ホルモンに似た構造を持つ大豆イソフラボン由来の成分です。大豆製品を食べると、腸内で大豆イソフラボンを腸内細菌が分解し、エクオールが作られます。しかし、日本人の2人に1人はこの腸内細菌がないと言われています。腸内細菌がないと、どれだけ大豆製品を食べてもエクオールは作れないそうです。
西山さんの話を熱心に聞き入っていた霧島さんは「女性ホルモンが守り神であるということがよくわかりました。その守り神がいなくなっていく更年期においては、正しい情報をきちんと知った上で、今できることをすることが大事ということですね。今日、いろいろな情報を知ることができて本当によかったと思います」と感想を述べていました。
(後編に続く)