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親子でワーケーションしたいけど…… 課題は?
ワーケーションin熊本県上天草市 Day4
Project report トラベル キャリア ライフスタイル グルメ レクリエーション
[ 22.01.10 ]
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リモートワークが広がる中、旅先で仕事をしながら休暇も楽しむ「ワーケーション」が注目されています。
AGプロジェクト事務局は10月、熊本県上天草市が実施した4泊5日のワーケーションモニターツアーに参加。その模様をお届けします。
〈Day4・10月28日〉
この日は午前中にリモート会議に参加し、午後は原稿書き、夕方に上天草市長や市の職員、観光業者の方々と、ワーケーションに関する意見交換会に参加するという日程でした。午前中に仕事の予定のない人は、マリンスポーツに繰り出すか、お寺で和尚さんの説法を聞くというアクティビティが用意されていました。昨晩からジョインした、IT系のウェブメディア記者・Aさんを含む多くの人が、午前中はワークタイムに充てていました。
仕事場として使わせていただいたのが「リゾラテラス天草」。今回のツアー運営を市から受託している「藍の村観光」の施設です。眼前に海をのぞむ絶好のロケーションに土産品店やカフェ、レストランなどが併設され、Wi-Fiも完備。
名物の塩パンは、かりっと焼き上げた表面に天草産の藻塩がトッピングされています。さくっとかめば、中はふんわり、バターの風味がじゅわっとしみ出て幸せな気分に。1個130円とお値段もお手頃でした。
ランチは隣の松島町の「お食事処松ちゃん」で、長崎、小浜と並ぶ「日本三大ちゃんぽん」の一つ、天草ちゃんぽんをいただきました。特大のエビと大量の野菜で、麺が見えません。魚介と野菜のうまみがしみ出したスープは、まろやかなのにあっさりしていて最後まで飲み干したくなるほど。
お昼休みは近くの観光地・千巌山へ。大きな岩の上に立つと、東に八代海、西に有明海と上天草を一望でき、気分爽快になりました。
夕方にはリゾラテラスで今回のツアー参加者と上天草市長、市内の観光業関係者らが意見交換する「島サミット」が開催されました。
司会役のDXコンサルタントの中村祐介さんは、コロナ禍をきっかけに、ワーケーションをめぐる状況がどう変化してきたのかを解説。
日本では旅行時期が夏休みなどに集中する上、宿泊数が短く、少ない需要を多くの観光地が奪い合っている現状がありました。また、職場に目を転じても、日本の有給休暇の取得率は先進国最下位レベル。
背景には、長期休暇を取りづらい職場風土があるとされています。
こうした状況が、コロナ禍で変化しつつあります。
今年3月に厚生労働省がテレワークのガイドラインを改訂。ワーケーションがテレワークの一形態と定義され、普段のオフィスと異なる場所で働き、余暇を楽しむワーケーションについても、IT技術を利用して働く場合はモバイル勤務、サテライトオフィスの一形態として見なされるようになったのです。
中村さんはまた、NTTデータ経営研究所、JTB、日本航空が2020年に実施したワーケーションの効果実証経験の結果も紹介。それによると、
①仕事とプライベートの切り分けが促進される
②会社への所属意識が向上する
③ワーケーション中は仕事の生産性が2割アップし、終了後も5日間は効果が続く
④心身のストレス反応が参加前と比べて37%程度下がる
⑤歩数が参加前より2倍に増え、活動量が増加する
などの結果が得られたということです。
ワーケーション後は心身のストレス反応が有意に下がっていることを示す調査結果。
自治体としても、旅行需要が年間を通じて均等になれば、人口流出を防ぎ、観光業を持続可能にしやすくなります。平日も含めた長期滞在客が増えれば、地域住民との交流が生まれ、旅行後もふるさと納税などの関わりなどに発展していく可能性があります。
都会の企業、受け入れ自治体と観光業関係者。皆がwin-win-winになる解がワーケーションなのではないか、中村さんはそう指摘しました。
後半は、ワーケーションサイトとしての上天草の魅力や課題について意見交換しました。ツアー企画に携わった、同市出身で、20年まで東京で化粧品会社の社長を勤めていた山下慶子さんは、ネット環境の整備と移動手段の拡充を要望。
「Wi-Fiが使える拠点を増やし、どこでつながるのか、分かりやすく発信して欲しいです。公共交通も少ないので、仕事の合間に余暇を楽しめるよう、モビリティーの確保も課題だと思いました。上天草は広いので、どこに行くにも車がないと不便です」
堀江隆臣市長は、ネット環境の整備の重要性について「行政の宿題」と理解を示し、2021年中に市内全域で光回線が使えるよう整備を進めていることや、移動手段の拡充についても、検討中であることを説明しました。
ビジネス支援のクラウドサービス「Bizer」社長の畠山友一さんは、職業柄、ネットがつながる場所ならどこでも働ける利点をいかし、千葉県の自宅から全国をキャンピングカーで巡り、時には小中学生の子どもたちを連れてワーケーションを続けてきた経験を語りました。この夏は1カ月半、北海道に滞在したとのこと。
「移住はハードルが高いから、好きな地域で1カ月くらい、働きながら暮らすというのがちょうどいい。そういう場所をたくさん持っていることが、人生を豊かにしてくれると思うんです」。決め手はやはり「人」だと言います。
「コロナ禍という状況はあれど、都会から来たというだけで露骨に嫌な対応をされた経験もあります。気持ちは分かりますが、悲しかったですね。今回は地域の方とたくさん交流できてすごく良かった。あの人に会いに、また来ようと思える。ふるさと納税をするときも、出会った人たちの顔を思い浮かべながら商品を選ぶんじゃないかなと思います」
そして、子どもを連れてのワーケーションについて、常々課題だと感じていることも語りました。「多感な時期の子どもにとって、様々な地域での生活体験は得がたい学びになるはずです」と畠山さん。ただ、学校があると、平日は動けません。子どもの年齢が上がれば上がるほど、欠席が増えることが内申書など、進学に影響してしまう面もあります。
「ワーケーション先の学校に短期入学させていただき、地元の子たちと一緒に学んだ日数も、普段通う学校の出席日数にカウントしてもらえる仕組みができたら、もっと多くの親子連れがワーケーションしやすくなると思います」と提案しました。
これには堀江市長も「どの自治体から来ても受け入れるというのは難しいが、特定の自治体とワーケーションの受け入れに関する提携を結び、その自治体からワーケーションに来られる親御さんのお子さんを受け入れるという方法は検討可能かもしれない」と応じました。
更に畠山さんは、市内でキャッシュレス決済に対応している店舗が少ないことを指摘。「東京だと普段の買い物では現金をほとんど使わないので、ちょっと面食らいました。キャッシュレス対応の店が増えると、買い物しやすくなると思います」。
釣りにマリンスポーツ、陶芸、温泉、美味しい食事。見どころ満載の上天草が、ワーケーションサイトとしても認知度を高めていくための課題が見えたサミットでした。
<Day5に続く>
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